ニュース速報

ビジネス

IMF、世界の成長率見通し据え置き ユーロ圏と中国は上方修正

2017年07月24日(月)19時32分

 7月24日、IMFは24日、今年と来年の世界経済の成長率見通しを据え置いた。ユーロ圏と中国については小幅ながら上方修正した。写真はIMFのロゴ、4月撮影(2017年 ロイター/Yuri Gripas)

[クアラルンプール 24日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は24日、今年と来年の世界経済の成長率見通しを据え置いた。ユーロ圏と中国については小幅ながら上方修正した。IMFは今回、世界経済見通しを改定。2017年の世界成長率見通しを3.5%、18年は3.6%とし、4月時点の予想を維持した。

IMFは「世界経済の成長率見通しを巡るリスクは短期的にはおおむね均衡しているが、中期的なリスクは引き続き下向き」と指摘した。

米成長率見通しは、17年・18年ともに2.1%に据え置いた。IMFは4月時点では、17年の米成長率を2.3%、18年を2.5%と予想していたが、6月に公表した米経済に関する年次審査報告で、今年と来年の成長率見通しをともに2.1%へと引き下げていた。

ユーロ圏については、17年が1.9%、18年は1.7%とし、前回見通しをそれぞれ0.2%ポイント、0.1%ポイント引き上げた。上方修正の理由として「従来の想定より堅調な内需」を指摘した。

IMFは、英国の17年の成長率見通しは1.7%とし、第1・四半期の経済活動が予想より弱かったことを理由に前回見通しから0.3%ポイント下方修正した。18年については1.5%に据え置くとした。

日本の成長率は17年は1.3%と予想、前回見通し(1.2%)を引き上げた。個人消費や投資、輸出が堅調で、第1・四半期の成長が押し上げられたと指摘した。18年の見通しは0.6%に据え置いた。

中国は、17年が6.7%、18年が6.4%で、前回の見通しからそれぞれ0.1%ポイント、0.2%ポイントの上方修正となった。IMFは、中国政府は高水準の公共投資を維持するとの見方を示した。

IMFのモーリス・オブストフェルド経済顧問・調査局長は、トランプ米大統領が中国からの鉄鋼輸入への関税措置を提案するなど世界経済は保護貿易主義にさらされていると指摘した上で、そうした発言はまだほとんど行動に移されていないとの認識を示した。

「将来に何が起きるか分からない。こうした脅威はわれわれの下向きな見解に織り込まれているが、うまく行けば起こらないことであるため、基本(シナリオ)ではない。しかしリスクとなる」と指摘した。

また中国経済について、当局による信用の伸び抑制と不良債権への対応を背景に17年下期に減速すると予想。「今年上期の成長率は非常に高水準だった。これは全般的な世界経済の成長回復やアジアの貿易拡大が一因だ。しかし、国内の信用拡大も一因となっており、この点が懸念材料だ」との認識を示した。

*内容を追加します。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロンドンなどの市長選で労働党勝利、スナク政権に新た

ワールド

バイデン大統領は「ゲシュタポ政権」運営、トランプ氏

ワールド

ロシア、ゼレンスキー大統領を指名手配

ワールド

インドネシアGDP、第1四半期は前年比+5.11%
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    マフィアに狙われたオランダ王女が「スペイン極秘留…

  • 10

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中