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アングル:米株強気相場8年に、さらに長期化か

3月9日、米国株が強気相場に入って9日でちょうど8年と、過去2番目の長さに達した。NY証券取引所前で1月撮影(2017年 ロイター/Lucas Jackson)
[ニューヨーク 9日 ロイター] - 米国株が強気相場に入って9日でちょうど8年と、過去2番目の長さに達した。企業収益の改善、減税、企業寄りの米政権という好条件がそろっており、多少の調整を経ながらも強気相場はさらに長期化するとの見方が優勢だ。
S&P総合500種指数<.SPX>は2009年3月9日に付けた676.53の底値から250%上昇。この間、「弱気相場」入りとされる20%以上の下落局面は訪れていない。
過去の強気相場の平均期間に比べ、今回は約3年長く、過去最長である1990年10月11日から2000年3月24日の強気相場に比べると1年以上短い。
昨年は企業利益が減少する中でもS&Pが上昇を続けた。これは歴史的な低金利が一因だ。
今年に入ってから既に6%近く値上がりしているものの、景気と企業利益の見通しが改善しているため、アナリストは上昇が続くとの見方を変えていない。
LPLファイナンシャルのシニア・マーケット・ストラテジスト、ライアン・デトリック氏は「険しい道のりになるかもしれないが、年末にかけて企業利益は伸び続ける見通しで、強気相場が9年に達する可能性は残る」と話す。
UBSセキュリティーズの米株・デリバティブ・ストラテジー担当執行ディレクター、ジュリアン・エマニュエル氏は、5─10%の調整が入った後に強気相場が「仕切り直す」と予想。調整局面は買い場になると見ている。
エマニュエル氏の見方では、強気相場が終わるのは景気後退につながる兆候が蓄積し始めた時だが、「2017年や18年にそうした事態は予想されない」という。
ただ、S&P500の予想株価収益率(PER)は現在約18倍で、過去平均の15倍を大きく上回っている。これを押し下げるためには企業利益が伸び続ける必要がある。
トムソン・ロイター・エスティメーツによると、今年は10.7%の増益が予想されている。1月時点の12.5%に比べて予想が切り下がったとはいえ、十分な伸び率だ。
また米経済指標は改善を続けており、景気後退の徴候とは程遠い。
キングズビュー・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ポール・ノルト氏は最大5%の調整を予想しているが、「それ以上の下落を示すような警告信号はまだ見えない。景気後退に陥る可能性は今のところなさそうだ」と話した。
(Chuck Mikolajczak、Rodrigo Campos記者)