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鉱工業生産7月は横ばい、出荷増で在庫調整が進展 先行き勢い欠く

2016年08月31日(水)11時05分

 8月31日、経済産業省が発表した7月鉱工業生産指数速報は前月比0.0%となり、市場予想を下回った。京浜工業地帯で18日撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 31日 ロイター] - 経済産業省が31日発表した7月鉱工業生産指数速報は前月比横ばいにとどまったが、自動車や鉄鋼などの出荷が伸び、在庫調整が進んだ。在庫は2014年10月以来の低水準まで削減された。ただ年初来の事故や地震の影響に伴う生産・出荷の挽回が終わった後には懸念も残る。先行きの生産予測指数は、誤差を割り引くと内外需とも力強さに欠けるため、緩やかな伸びにとどまりそうだ。

7月の生産は前月比0.0%となった。ロイターの事前予測調査では前月比0.8%上昇と予想されていたが、発表数値は予想を下回った。乗用車の挽回生産が押し上げたほか、スマートフォンやゲーム機向けの半導体集積回路も生産増となったが、化粧品や橋梁、ロボットや蒸気タービンなどが押し下げ要因となった。

他方で、出荷は乗用車や鉄鋼、電機機械などが伸びて前月比0.9%増と2カ月連続で増加し、在庫が削減された。在庫の低下幅は11年3月以来の大きさとなった。

経済産業省では、家計部門で消費増税以降低下傾向にあった車や家電などの耐久消費財の出荷が回復してきているとともに、企業部門でも設備投資関連の資本財が春以降上向き加減となっていることが出荷増に寄与しているとみている。

ただ、こうした動きには、年初来の工場火災や熊本地震の影響に伴う生産や出荷の一時停止からの反動要因もある。

その持続性を占う生産予測指数は、8月が前月比4.1%上昇、9月が同0.7%低下となった。8月の指数が大きく伸びたのは7月の実績値が計画を下回ったためで、計画水準自体はほぼ変わっていない。誤差を調整すると前月比0.1%程度の伸びにとどまるとみられている。

市場関係者からは、生産については力強さを欠く展開を予想する声が目立つ。SMBCフレンド証券・チーフマーケットエコノミストの岩下真理氏は「米国経済は堅調なれど、世界全体としては停滞感がまだぬぐえず、生産活動はあまり力強さのない状況が続く」と見込んでおり、生産・出荷の挽回が終わった後、けん引役が見当たらない点が懸念材料だと指摘する。

経済産業省は生産の基調判断を「一進一退だが、一部に持ち直し」として据え置いた。

*内容を追加しました。

(中川泉 編集:田中志保)

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