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焦点:中国景気は底打ちか、追加緩和の行方に思惑交錯

4月18日、中国経済に回復の兆しが表れている。指導者も景気底打ちに対する自信を強めているが、政策顧問からは金融緩和サイクルの終了を唱えるのは時期尚早との声が聞かれる。写真は中国の国旗。北京で2013年4月撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[北京 18日 ロイター] - 中国経済は第1・四半期の国内総生産(GDP)成長率が2009年初頭以来の低い伸びとなった一方で、3月製造業購買担当者景気指数(PMI)が予想を上回るなど第2・四半期に向けて回復の兆しが表れている。指導者も景気底打ちに対する自信を強めているが、政策顧問からは金融緩和サイクルの終了を唱えるのは時期尚早との声が聞かれる。
景気回復の兆候が表れたことで中国人民銀行(中央銀行)はとりあえず政策を温存する余地を確保し、将来の経済改革や米利上げでショックが発生した場合に対処は可能だという。
ある政策顧問は「引き続き緩和政策が欠かせず、利下げ余地はある。ただ、そうした政策を実施する緊急度は薄れた」と話した。
15日の金融市場では、堅調な統計をはやすことはなく、むしろ政府の追加対策が緩むとの思惑から主要な株価指数は低下した。
政府のエコノミスト3人は、中銀は年内に預金準備率を3回ないし4回引き下げ、政策金利を少なくとも1回引き下げると引き続き予想している。
昨年と今年初めに金融市場が動揺し、政策判断は難度が高まった。中国の指導者は積極利下げで人民元に対する売り圧力が再燃し、新たな資本流出を招くのではないかとの危惧を抱いている。
政府系有力シンクタンクのエコノミストは「インフレ上昇で追加利下げの余地は小さくなった。資本の流出は鈍っているが、預金準備率の引き下げがすぐに行われることはないだろう」と述べた。
実際、中銀は特別融資など他の手段を経済改革に伴う痛みを和らげるために導入することが可能だ。
復旦大学経済学院のZhang Jun院長は「中銀は流動性を押し上げ、借り入れコストを下げたいと考えており、(利下げなどの政策が)実施される可能性はある。しかし中銀には多くの手立てがあり、新たな政策ツールも開発されている」とした。
<景気は底打ちか>
指導者は景気についてこれまでより強気の見方を示しており、李克強首相も8日、第1・四半期に改善の兆候が表れていると述べた。
エコノミストの間でもこうした見方に同調する動きがある。ANZ銀行は3月インフレ率の発表後に緩和予測を見直し、年内の預金準備率引き下げの回数の予想を従来の3回から1回に修正した。
UBSも15日に中国の今年の成長率予想を6.2%から6.6%に引き上げ、利下げも年内はないとの予想に変えた。ただ、成長の持続性や負債については懸念があるとしている。
事実、新規の負債は今年初めに急増し、このことが3月の力強い経済成長を支えたが、債務の増加は懸念材料だ。国際通貨基金(IMF)も先の報告でこの問題を採り上げ、市中銀行の企業向け融資の15.5%、1兆3000億ドルは利払いに十分な所得のない借り手向けだと指摘した。
国家統計局の広報担当者は15日、「中国は改革という尾根を上っているところで、改革の痛みは続いている。実体経済は困難を増しており、下押し圧力は無視できない」と語った。
(Kevin Yao記者)