ニュース速報

ビジネス

経団連、設備投資10兆円増見通し 減税など政策対応が前提

2015年11月26日(木)11時37分

11月26日、経団連の榊原定征会長は官民対話で、政府の政策対応を前提に18年度までの3年間で約10兆円の設備投資増加が見通せるとの試算を提出した。昨年6月撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 26日 ロイター] - 経団連の榊原定征会長は、26日開催された官民対話で、政府が国際的競争力確保のための種々の政策対応を実施することを前提に、2018年度までの3年間で約10兆円の設備投資増加が見通せるとの試算を提出した。政府は法人実効税率の早期引き下げや、新規取得の機械装置の固定資産減免などを推進する必要があるとした。

経団連の見通しでは、15年度時点で71.6兆円(国民経済計算の名目ベース)とみられる設備投資が、17年度にはリーマンショック前の水準を上回り、18年度には81.7兆円まで増加する見込み。

企業設備は老朽化が進み、相当な規模での更新投資が見込まれることから、今年度の投資計画も各種調査は相当高い伸びとなっている。現在の中国経済減速などによる様子見が短期間で終息すれば、それなりの投資が出てくると経団連では見込んでいる。

ただ、榊原会長は、政府が国際的なイコールフッティングの確保に向けて、政策対応を実施する必要があるとした。

具体的には「法人実効税率の早期引き下げ」を挙げた。ただ、20%台の税率と引き下げ時期は明示していない。

次に新規取得の償却資産(機械装置)にかかる固定資産税減免を挙げた。実際に設備投資促進に効果があるのは、こうした投資減税の活用だと経団連ではみている。

このほか「規制改革のさらなる推進」「TPP活用促進と経済連携協定の早期妥結」、安全性が確認された原子力発電所の再稼働プロセス加速など合わせて9項目の政策対応を求めた。

経団連の見通しでは、設備投資が3年間で名目14%程度伸びる見通しとなっており、年間で平均4%以上の増加ペースが必要となる計算。

ただ、リーマンショック以降で設備投資の伸びが4%を超えたのは13年度の消費増税前の駆け込み需要があった年だけで、ハードルは高い。

経団連内部では、物価上昇率が高まるか、あるいは法人実効税率が海外並みの25%台まで低下して海外からの投資を呼び込むことができなければ、大幅な国内設備投資拡大は見込みにくいとの見方もある。

一方、賃上げでは16年の春闘交渉に向け「収益が拡大した企業には、今年以上の賃上げを期待する」とした。そのうえで「年収ベースでの賃金引き上げと総合的な処遇改善について、自社の実情に適った形での方策を検討するよう呼びかける」とした。

*内容を追加しました。

(中川泉 編集:田巻一彦)

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

岸田首相、「グローバルサウスと連携」 外遊の成果強

ビジネス

アングル:閑古鳥鳴く香港の商店、観光客減と本土への

ビジネス

アングル:中国減速、高級大手は内製化 岐路に立つイ

ワールド

米、原発燃料で「脱ロシア依存」 国内生産体制整備へ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 6

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中