ニュース速報

ビジネス

スカイマーク再生に向け一歩前進、ANA幹部「独立性の維持」約束

2015年08月05日(水)22時18分

 8月5日、民事再生手続き中のスカイマークが策定した再生計画案が債権者集会で可決されたことを受け、支援企業となる投資ファンドのインテグラル(東京千代田区)やANAホールディングスが国土交通省で記者会見(写真)を行った。5日撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 5日 ロイター] - 民事再生手続き中のスカイマークが策定した再生計画案が5日の債権者集会で可決されたことを受け、支援企業となる投資ファンドのインテグラル(東京千代田区)やANAホールディングス<9202.T>は同日午後、記者会見を行った。

ANAHDの長峯豊之取締役は「安全と整備を中心としたオペレーションの品質を評価される会社にしていきたい」と強調。インテグラルの佐山展生代表は「もう一度乗ってみたいと思われる航空会社にしたい」と意欲を示した。

ただ、ANAの支援が決まったことで、スカイマークの第3極としての立ち位置が揺らぐのではないかとの懸念も出ている。長峯取締役は「契約の中でスカイマークの独立性が担保できる仕組みを準備しており、運賃や路線、便数など具体的な計画についてはANAは一切プロセスに関与しない」と述べ、あらためて独立性の維持を約束した。インテグラルの佐山代表も「独立性を維持することについては、長い時間をかけてスポンサー契約、株主間契約で仕組みについて合意してもらったので、その線に沿って期待に応えたい」と強調した。

国内航空市場は寡占状態にあり、競争促進の観点からスカイマークの存在に期待する声も多い。ANA色が強まれば、独立性に疑念を持たれかねないだけに、再建にあたってはインテグラルの手腕も問われそうだ。

関係者によると、きょうの債権者集会では、直前まで態度を保留してきた大口債権者の欧州航空機メーカー、エアバスがANA支持に回った。市場ではこの裏に今後の機材発注をめぐる密約があったのではないかとの見方もあるが、長峯取締役は「交渉の中で契約するような話はしていない」と否定。ただ、大口債権者の米リース会社CITとは「将来の可能性について少し議論をした」ことを明らかにした。

スカイマーク再生計画をめぐっては、ドル箱とされる羽田空港の発着枠をめぐる思惑や今後の取引をちらつかせた駆け引きなど、スポンサーの「都合」も見え隠れした。スカイマークは今後、ANA傘下の全日本空輸(全日空)と共同運航の実施や新たなシステム構築の検討など、ANA支援のもとで再生を図るが、関係者の利害が交錯する中で、このままスムーズに離陸できるかどうかは不透明な面も残されている。

*内容を追加して再送します。

(志田義寧、白木真紀)

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

パキスタン、国防相が核管理会議の招集否定 インドに

ワールド

韓国与党、大統領選候補指名やり直し 韓前首相に一本

ビジネス

中国4月CPI3カ月連続下落、PPI下落加速 貿易

ビジネス

米政権、航空機・部品輸入を調査 追加関税の可能性
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 3
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノーパンツルックで美脚解放も「普段着」「手抜き」と酷評
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 6
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 7
    指に痛みが...皮膚を破って「異物」が出てきた様子を…
  • 8
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 9
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 10
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 9
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 10
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中