ニュース速報

ビジネス

インタビュー:人材育成を強化、後任も「社内から期待」=武田CEO

2015年04月01日(水)19時15分

 4月1日、武田薬品工業のウェバー社長兼CEOはロイターとのインタビューで、人材育成に力を入れてい行く方針を示した。都内で昨年4月撮影(2015年 ロイター/Issei Kato)

[大阪 1日 ロイター] - 武田薬品工業<4502.T>のクリストフ・ウェバー社長兼CEOは1日、人材育成に力を入れてい行く方針を示した。リーダーの半数以上は社内からの人材で占めるように育成したいとしたほか、自らの後任も、社内から出ることを「期待している」と述べた。ロイターとのインタビューで語った。

ウェバーCEOは「いろいろなロケーションでいろいろな経験をできるチャンスがあることが大事」とし「リーダーの半数は、社内から生え抜きの人を育てていきたい」と述べた。トップについても「外から取ってくることはリスクが大きい」とし、社内から育つことに期待感を示した。

同氏は、4月1日付でCEOに就任、「武田をグローバルな製薬市場のリーダーにしたい」と、あらためて決意を語った。すでに、がん、消化器系、新興国を成長の柱に据えているほか、組織体制の整備も進めてきている。

成長の中心となる新興国については「60億人の人がいる。ここで10%以上の成長をしていきたい」という。新興国の中でも、ロシア、ブラジル、中国を特に重要な地域と位置付けている。ロシアは通貨安などに見舞われているものの「新興国のビジネスは長期的な展望が必要。経済成長しており、医療ニーズはとても高い」と述べ、注力する姿勢に変わりがないことを強調した。

同社は2月に、アジア太平洋を含む新興国の事業を統括する拠点をシンガポールに開設した。それまでは、新興国への販路拡大のためにスイスのナイコメッドを買収したこともあり、新興国事業の拠点はスイスにあった。

「シンガポールは新興国事業にとってベストな場所だ。日本との時差も小さい」ことを理由に挙げた。

事業強化のためのM&Aについては「これから新薬がたくさん上市される。オーガニックな成長が可能であり、M&Aは高いプライオリティではない」としたうえで、「パートナーリングのチャンスは見ていくが、戦略的、財務的に意味を持つかを判断の基準にしていく。リターンが十分に担保できるか、分析しなければならない」と述べた。市場の状況や競合関係が国によって異なるため、パートナーのあり方については、市場によって違ってくるとの見方を示した。

現在策定している2016年3月期業績見通しについては、5月15日に発表するとして言及は避けながらも「16年3月期は売上高・収益ともに成長する転換点だ」と述べ、成長に向けた自信を示した。

トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト16人の営業利益予測平均値は1864億円で、今期見通し(1700億円)比9.6%増となっている。

ウェバー氏は、英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)から武田に転じた。2014年6月から社長兼COO、15年4月1日から社長兼最高経営責任者(CEO)に就いた。

(清水律子)

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国軍機14機が中間線越え、中国軍は「実践上陸訓練

ビジネス

EXCLUSIVE-スイスUBS、資産運用業務見直

ワールド

ロシア産肥料を米企業が積極購入、戦費調達に貢献と米

ビジネス

ECB、利下げごとにデータ蓄積必要 不確実性踏まえ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中