ニュース速報

ビジネス

米FRB議長、年内の利上げ開始示唆 金利正常化は段階的と強調

2015年03月28日(土)07時55分

 3月27日、イエレンFRB議長は緩和解除を真剣に検討しており、年内の利上げが正当化され得ると表明した。SF連銀主催のセミナーに出席する議長。(2015年 ロイター/Robert Galbrait)

[サンフランシスコ/ワシントン 27日 ロイター] - イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は27日、FRBとして金融緩和の解除開始を真剣に検討しており、年内の利上げが正当化され得ると表明、インフレや賃金動向が健全なペースに復帰せずとも年内に利上げを開始する意向を示唆した。同時にコアインフレや賃金の伸びが下振れれば、据え置きを迫られる可能性もあるとしたほか、利上げ後も金利の正常化は段階的な道のりにとどまると強調した。

議長は、サンフランシスコ地区連銀主催の金融政策に関する会議で講演。インフレが2%目標に近付くまで利上げを見送るのは賢明でないとの考えを示唆した上で、利上げ開始後も段階的な金融引き締めが正当化される可能性が高いとした。また入手可能な経済指標がFRBの見通しを裏付ける内容でない場合、政策の道筋は調整されることになるとの見方を示した。

その上で「経済状況が引き続き改善すれば、年内に政策金利の誘導目標レンジを引き上げることは正当化され得る」と言明した。

また利上げのタイミングや道筋は入手可能な経済指標内容に拠るとし「政策の実際の道のりは経済状況に応じて変化する。実質的な経済活動およびインフレの実際の動きやおよびその見通し次第で、政策の引き締めは加速したり、減速したり、停止したり、あるいは逆戻りする可能性がある」とした。

米債券市場では、議長講演がややタカ派との見方から国債利回りが一時的に上昇。一方、短期金利先物市場では、FRBが10月まで利上げを見送るとの見方が依然として根強い。

オアンダ(トロント)のシニア通貨ストラテジスト、アルフォンソ・エスパーザ氏は 議長の講演は「先週の連邦公開市場委員会(FOMC)声明のほぼ焼き直し」とし、「FRB当局者は指標待ちの状況」と指摘した。

労働市場の改善が今後も継続しつつ、インフレに対する一時的な下押し圧力も弱まるとみられるなか、小幅な利上げは景気回復を阻害するものではないとした。同時にコアインフレもしくは賃金動向の悪化が引き締めを遅らせる要因となり得る一方、いずれの上昇も利上げの付帯条件となるわけではないと言明した。

雇用者数については、過去1年間で月平均27万5000人増加したと指摘。ただ経済情勢がFRBの見通し通りに進展した場合でも、金融市場に起因するマイナス要因の減退が緩やかであることなどを考慮し、政策金利の正常化は段階的な流れにとどまる見通しと述べた。

また、軟調な海外経済を背景とするドル高は米輸出を阻害する可能性があるとし、FRBは米景気の先行きを判断する上で世界経済の状況を考慮すべきとの考えを示した。

ただ、米消費支出は「堅調」とし、海外中銀による金融緩和が成長押し上げに寄与すれば、米輸出への需要も拡大するだろうと述べた。

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

KKR傘下のロジスティードがアルプス物流買収へ=B

ビジネス

アジアのデータセンターM&A活発化、AIブームで記

ビジネス

トヨタの今期、2割の営業減益予想 成長領域などへの

ビジネス

郵船、1000億円上限に自社株買い決議 配当予想1
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    デモを強制排除した米名門コロンビア大学の無分別...…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    イギリスの不法入国者「ルワンダ強制移送計画」に非…

  • 10

    中国軍機がオーストラリア軍ヘリを妨害 豪国防相「…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中