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米住宅着工、5月0.9%減 過去2カ月上方改定で改善基調も
[ワシントン 18日 ロイター] - 米商務省が18日発表した5月の住宅着工件数(季節調整済み)は年率換算で前月比0.9%減の126万9000戸と、予想外に減少した。
ただ前月までの2カ月間の数字は上方改定された上、5月の住宅許可件数は増加したことから、住宅ローン金利の大幅な低下が住宅市場を幾分支えていることを示唆した。市場予想は123万9000戸だった。
4月の数字は当初発表の123万5000戸から128万1000戸に改定。3月の数字も上方改定された。
5月着工件数の内訳は、市場で最も大きなシェアを占める一戸建て住宅が前月比6.4%減の82万戸だった。地域別では北東部と中西部、西部で減少。最大市場の南部は増加した。
月々の変動が激しい集合住宅は10.9%増の44万9000戸だった。
住宅着工件数の弱含みは、一部の地域で発生した豪雨を反映しているとみられる。
ナロフ・エコノミック・アドバイザーズのチーフエコノミスト、ジョエル・ナロフ氏は「住宅市場は引き続き方向が定まらない。大幅な改善も悪化もしていない」と述べた。
住宅着工の許可件数は0.3%増の129万4000戸と、2カ月連続で増加。許可件数は今年軟調に推移。落ち込みは主に一戸建て住宅に集中している。5月の内訳は、一戸建て住宅が3.7%増の81万5000戸だった。前月まで5カ月連続で減少していた。地域別では北東部と中西部で減少する一方で、南部では2016年12月以来の大幅な増加となった。集合住宅は5.0%減の47万9000戸だった。
ウェルズ・ファーゴ証券のシニアエコノミスト、マーク・ビトナー氏は「購入条件の改善を伴う許可件数の増加は、夏にかけて動きが徐々に改善することを示している」と指摘。ただ、住宅ローン金利低下で建設が急拡大する可能性は小さいとの見方を示した。
完成件数は9.5%減の121万3000戸。建設中の住宅在庫は前月から横ばいだった。
住宅市場は昨年から弱含み始め、5四半期連続で国内総生産(GDP)の重しとなっている。
用地と労働力不足によって、住宅建設業者が低金利を完全に生かすことは難しく、住宅部門の重しとなっている。住宅市場は在庫逼迫が続いており、結果として売り上げの伸びも鈍い。
また、米中貿易摩擦が再び高まれれば今後の住宅建設に影響する懸念がある。17日に公表された6月の住宅建設業者指数は前月から低下した。業者は引き続き、開発・建設費用が上がっていることを指摘したほか、貿易摩擦への懸念が幾分高まったと報告した。住宅ローン金利が低下したにもかかわらず「住宅価格は依然として、所得と相対してやや高い。特に初めての住宅購入者にとっては障壁となる」との声が上がった。
連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によると、30年住宅ローンの固定金利は11月のピーク水準(約4.94%)から3.82%に低下している。3月の住宅価格は前年同月比で3.7%増と、賃金の上昇ペースを上回った。5月の賃金は前年同月比3.1%増だった。
住宅ローン金利は特にここ数週間で低下している。米中貿易摩擦の高まりを受けて米連邦準備理事会(FRB)が関税の影響を和らげるために今年利下げするとの見方が浮上している。FRBは18─19日の日程で連邦公開市場委員会(FOMC)を開催するが、今回は据え置きの見方が大勢だ。
トランプ米大統領は5月上旬、2000億ドル規模の中国製品への追加関税率を25%に引き上げ、中国も報復措置で応酬。トランプ氏は、通商合意に至らなければさらなる関税を課すとしている。