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豪中銀、次の一手は利上げとなる可能性 景気がシナリオ通りなら=総裁
[シドニー 22日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)のロウ総裁は22日、不動産市場の急激な悪化が景気の勢いを阻害する公算は小さいと指摘し、次の一手が利上げとなる可能性は依然として残っているとの認識を示した。
中銀は今月に入り、これまでの引き締めバイアスから中立スタンスにシフトしたが、ロウ総裁は、景気が見通しに沿って推移する場合は、来年のいつかの時点で利上げが適切になる可能性があると述べた。
議会の経済委員会で総裁は、「将来的に利上げが適切になる可能性がある」と表明。「穏やかなインフレ見通しを踏まえると、今年利上げする可能性は低い」と続けた。
「ただ、失業率の低下やインフレ率上昇など、中心的シナリオにおおむね沿った形で景気が推移すれば、来年のいつかの時点で利上げが適切になるかもしれない」とした。
総裁の発言を受けて豪ドル
ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)の外為ストラテジスト、ロドリゴ・カトリル氏は「市場は年内の利下げを積極的に織り込んでいたが、ロウ氏のメッセージは豪ドルを多少押し上げた」と指摘した。
ロウ総裁は「住宅市場の調整が経済に打撃を与えるとは見込んでいない」と表明。「(この調整は)住宅市場をより持続可能な軌道に乗せ、より多くの人が住宅を購入できる状況につながる」とし、「プラスの面もある」と指摘した。
オーストラリアの住宅価格は現在約8%下落し、2016年半ば以来の水準に落ち込んでいる。主要都市シドニーとメルボルンの落ち込みが激しい。
総裁は「こうした住宅価格の変動が一部にとって厳しいことは認識している」とした上で、「それでも、われわれの経済と金融システムに回復力があるという事実からある程度の安心感を得るべきだ」と発言した。
それでもなお、中銀は必要に応じて金利を引き下げる柔軟性を持つと指摘。金利に「既定の進路はない」とし、おおむね中立的な政策スタンスを維持していることを示唆した。
「6カ月前と同様に(理事会は)政策金利を目先変更する強い根拠はないとみている」と述べ、「金融政策はすでに豪経済を十分支援しており、状況を見極める間、現在の政策を維持するのが適切だ」との見解を示した。
また「労働市場の動向が鍵になる」と語った。
*内容を追加しました。