コラム

元CIA工作員が教える「ファイブ・アイズ」の歴史・意図・実力

2023年11月10日(金)17時57分

「世界最大のスパイ網を持つのはアメリカ」だが

中国の情報活動はファイブアイズ5カ国で急増している。主要ターゲットは先端技術や人工知能の研究だ。FBIは1000件を超える中国の「技術窃盗」を捜査中。アメリカ国内の米軍基地では、過去1年間に中国の情報活動が十数件確認されている。

中国の脅威は至る所で高まっている。中国は「ゲームのルールを変えた」と、カナダ安全情報局のデビッド・ビニョー長官は指摘した。国内法の改正によって「事実上、われわれの国にいる人々に機密情報を教えるよう強要する方法を手に入れた」というのだ。他の情報機関トップも、中国の情報活動の脅威に同様の警鐘を鳴らした。

もちろん、中国側はファイブアイズ会議の警告を一笑に付した。中国外務省報道官は、「世界最大のスパイ網を持っているのはアメリカだ」と反論した。

そのとおりかもしれない。だがオーストラリア保安情報機構のマイク・バージェス長官がファイブアイズ会議で述べたように、「全ての国がスパイ活動を行っている。しかし、(中国の)行動は伝統的なスパイ活動の域をはるかに超えている」のだ。

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グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

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