嘘つき大統領トランプがアメリカの民主主義を打ち砕く
アメリカの有権者の過半数は今回の弾劾調査を支持している。だが、共和党内でのトランプの支持率はいまだ80%に達する。共和党指導部は、離反すればトランプの怒りを買い、支持基盤である白人ナショナリスト層の票を失うと恐れてか、トランプの弾劾を阻止する構えのようだ。
ミッチ・マコネル共和党上院院内総務は「弾劾プロセスは私のところで止まる」と発言。共和党関係者は一致団結して、弾劾調査は党利党略に基づく根拠のない攻撃だと批判している。
憂慮すべきは、トランプが罷免されようと首をつないで嘘をつき続けようと、アメリカの民主主義が今後も腐り続けるということだ。トランプと共和党による支配が終わったとき、後に残るのは傷だらけの政府と半永久的に損なわれた民主主義、あるいはもっと悪い事態だろう。
弾劾劇は歴史的に重要な意味を持つ。しかしその主役たちは今この瞬間にも、アメリカの理念や社会的結束、繁栄を着々と破壊し続けている。
<本誌2019年10月22日号掲載>
【参考記事】アメリカをめちゃくちゃにしたトランプ、それでも支持する労働者たちの「思い込み」
【参考記事】ロシア疑惑とはまったく違う、ウクライナ疑惑の中心人物はトランプ本人
※10月22日号(10月16日発売)は、「AI vs. 癌」特集。ゲノム解析+人工知能が「人類の天敵」である癌を克服する日は近い。プレシジョン・メディシン(精密医療)の導入は今、どこまで進んでいるか。
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