コラム

テレビはネットで観るもの? DVDも予約録画もいらない韓国人のテレビ視聴

2016年01月15日(金)12時09分

 映画館で上映した映画はその後DVDではなくVODで公開する。映画館で封切してから1ヶ月もたたないうちにVODで公開するようになった。最近は映画館とVODの同時封切、試写会も映画館ではなくVODで行うケースが増えている。最初から映画館ではなくVODで公開することを目的に制作する映画も増えている。

 最近はデジタルケーブルテレビ、IPTV、衛星放送に加え、サムスン電子やLG電子などテレビメーカーまでもがVODサービスに熱心で、「どの会社よりも早くドラマの再放送VODを公開する」「どの会社よりも昔のドラマVOD本数が多い」など競い合っている。VODは一度決済すれば、テレビからも、スマートフォンからも、タブレットPCからも、どのデバイスからも利用できる。

 VODが広く普及してからは、その番組がどのチャンネルで放映しているのか、地上波の番組なのかケーブルテレビの番組なのか、そういうことは全く関係なくなった。好きな時に面白い番組を観られるので、視聴者は番組そのものの面白さを評価する。だからケーブルテレビのドラマでも大ヒットする時代になった。

 韓国では視聴率算定方式も変わりつつある。2015年の夏からVOD利用件数も視聴率に含める「統合視聴率」の実証実験を行っている。

 韓国人にとってテレビとはネットで観るもの、VODダシボギで好きな時に好きな端末から好きな場所で観るものになりつつある。

プロフィール

趙 章恩

韓国ソウル生まれ。韓国梨花女子大学卒業。東京大学大学院学際情報学修士、東京大学大学院学際情報学府博士課程。KDDI総研特別研究員。NPOアジアITビジネス研究会顧問。韓日政府機関の委託調査(デジタルコンテンツ動向・電子政府動向・IT政策動向)、韓国IT視察コーディネートを行っている「J&J NETWORK」の共同代表。IT情報専門家として、数々の講演やセミナー、フォーラムに講師として参加。日刊紙や雑誌の寄稿も多く、「日経ビジネス」「日経パソコン(日経BP)」「日経デジタルヘルス」「週刊エコノミスト」「リセマム」「日本デジタルコンテンツ白書」等に連載中。韓国・アジアのIT事情を、日本と比較しながら分かりやすく提供している。

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