まるで「文化爆弾」...中国が北朝鮮の「支配」を狙い展開する「中国版ソフトパワー外交」の実態
China’s Cultural Offensive
同じ朝鮮語でも韓国と北朝鮮の言語は微妙に異なり、北朝鮮は「平壌文化語」を公用語としている。中国はこれに敬意を表し、中国の生活や文化を平壌文化語で紹介するコンテンツを制作している。
中国の戦略は「文化爆弾」とでも呼ぶべきものだ。個々のコンテンツが北朝鮮の人々にどんな影響を与えるかは重視せず、純粋にコンテンツの量で勝負しようとしている。
その背景には、外国のコンテンツに飢えた北朝鮮の人々が当局の検閲を恐れずに安心して楽しめるのは中国のコンテンツだという読みがある。実際、韓国のメディアグループが24年に行った調査では、「あなたが消費する外国のコンテンツはどこの国のものですか」という問いに、88.4%の人がロシアやキューバではなく「中国」を挙げた。
それでも中国は今のところコンテンツの提供を秘密裏に行っている。中国を訪れる北朝鮮の貿易業者などにUSBドライブやSDカードを持ち帰らせるといったやり方だ。
一方で中国は北朝鮮の平壌科学技術大学に中国人教授を送り込み、カリキュラムの作成にも関与するなど、教育を通じた親中派の養成にも力を入れている。スマート農業、応用統計学、基礎医学など先進的な分野に特化したオンライン教育プラットフォームも開発中だ。北朝鮮の次世代の熟練労働者を育成する目的は知識生産の「中国化」だろう。