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中朝関係

まるで「文化爆弾」...中国が北朝鮮の「支配」を狙い展開する「中国版ソフトパワー外交」の実態

China’s Cultural Offensive

2025年7月23日(水)18時00分
サンヨン・リー(デイリーNK分析調査部長)、ロバート・ラウラー(同英語版編集長)

携帯プレーヤーを活用

中国はテクノロジーを巧みに活用して北朝鮮社会への浸透を図っている。それを端的に示すのは、中国製のメディアプレーヤーMP8が北朝鮮に流入し、10代の若者の間で人気を呼んでいることだ。

北朝鮮の若年層がMP8に飛び付いた理由の1つは当局の監視の目を気にせずに持ち歩けること。見た目はただの教育用デバイスだが、SDカードを挿入すれば手軽に外国のコンテンツを楽しめる。中国企業は北朝鮮当局の取締体制を考慮して北朝鮮向けのMP8をデザインしたようだ。


皮肉なことに北朝鮮の若者たちは韓国のドラマを見たり、Kポップを聴くためにMP8を活用している。これには中国側も苦虫をかみつぶしているが、デジタルオーディオプレーヤーのMP3を多機能化させた自国製デバイスを北朝鮮に普及させる方針を変える気はないらしい。

目下、MP8より古いバージョンのMP5と、やはり中国が独自開発した光ディスクを北朝鮮各地の幅広い世代に普及させる計画を立案中だ。それを使って中華人民共和国の建国の歴史や抗日戦の苦闘を描いた映画など、「社会主義精神文明」の偉大さを伝えるコンテンツを北朝鮮に浸透させようというのである。

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