エプスタイン小児性愛事件を暴かないトランプの「裏切り」にMAGA激怒、岩盤支持層に亀裂か

'We've been played': MAGA faces its own disappointment with Trump

2025年7月17日(木)22時38分
ヘスス・メサ

トランプは大統領選の活動中、ポッドキャスト番組の司会者レックス・フリードマンとのインタビューで「情報の公開はもちろん検討するつもりだ。ケネディ暗殺の件は、一部の人に危険が及ぶからという理由で公開を避けているようだ」と述べた。「でもエプスタインの件については(情報の公開を)やる方向で考えている。それについては何も問題ないと思っている」

だが米司法省が7月に入って発表したエプスタイン事件の再調査の結果は、「『顧客リスト』は存在しない。エプスタインの自殺に不審な点はみられない」というもので、陰謀説を信じてきたトランプ支持者や非主流派メディアは激怒している。

トランプ自身もこの問題が必要以上に大きな注目を集めていることに苛立ちを見せている。選挙期間中はエプスタイン問題を争点として利用したが、今ではその秘密を暴くことにあまり乗り気ではないようだ。

7月8日の会見で記者がパム・ボンディ司法長官にエプスタイン事件の調査結果について詰め寄ると、トランプは「まだジェフリー・エプスタインの話をしているのか」と腹立たしげに割って入った。

「デスクの上にある」から一転「存在しない」

トランプはこの日のトップニュースがテキサス州の洪水だったことに言及し、「こんな時にエプスタインのことを聞くなんて信じられない」と述べ、記者の質問を「時間の無駄」で「冒涜」だと一蹴した。

本誌はこの件について10日にホワイトハウスにメールでコメントを求めたが、これまでに返答はない。

そもそも、エプスタインがいわゆる「顧客リスト」を持っていたという説を強力に後押ししたのはトランプの側近たち、とりわけボンディ自身だった。

ボンディは2月にFOXニュースとのインタビューの中で、「ジェフリー・エプスタインの顧客リストは私のデスクの上にある」と主張した。発言はすぐに右派のインフルエンサーたちによって拡散され、オンラインやMAGA支持者の間で憶測が飛び交った。

ボンディはその直後、ホワイトハウスでエプスタイン調査の資料と称するバインダーを複数の保守系インフルエンサーに配布。「まもなく衝撃的な証拠が明らかにされる」という確信が強まった。FBIのカシュ・パテル長官やJ・D・バンス米副大統領もその場に同席していた。

だが司法省は今月、「顧客リストは存在せず、エプスタインの死因に不審な点はない」とするメモを発表。MAGAだけでなく共和党内からも反発の声が上がった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 5
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 6
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 7
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 8
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 6
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中