トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
The Dollar Is Sinking: Here's Why
通商面では、トランプは4月2日をアメリカに対する搾取からの「解放の日」として国別の相互関税リストを発表。一週間後には90日間の一時停止を発表して各国と交渉を続けてきたが、その期限も9日に迫っている。
これまでにアメリカと合意に達した国はごく一部で、この3カ月の猶予期間中に合意に至らなかった国・地域に対しては、4月2日に発表したよりさらに高い関税を課す可能性があると政権は示唆している。
本誌の取材に応じた専門家らは、こうしたさまざまな経済的要因の複合的な影響が財政見通しと最近のドル安に影響していると強調した。
米シラキュース大学のライアン・モナーク教授(経済学)は、「ドルの価値が下落している原因は、世界の投資家たちが、アメリカがマクロ経済の成長や金融システムの安定を継続できるのか不安を感じ始めているからだ」と指摘した。
「極端に高い関税をはじめとする最近の政策や米政府債務の増加、インフレへの懸念などが組み合わさって、ドル安を引き起こしている」
かつてFRB(米連邦準備理事会)の国際金融部門で主席エコノミストを務めていたモナークはさらに、FRBが景気刺激のために利下げに踏み切る見通しであることも「ドル建て資産への需要の低下、ひいてはドルのさらなる価値下落につながっている」と述べた。