最新記事
弾劾

尹錫悦大統領には「トランプ」という切り札がある!?...不正選挙の陰謀論に手を差し伸べてくれる

TRUMP: THEIR LAST HOPE

2025年2月18日(火)18時47分
ミシェル・キム(米弁護士、在ソウル)
尹錫悦大統領にはトランプという切り札がある!?...弾劾審判中の「不正選挙の陰謀論」

尹の支持者はトランプ支持者をまねて「選挙を盗むのをやめろ」というプラカードを掲げるが… CHRIS JUNGーNURPHOTOーREUTERS

<現職大統領の弾劾審判が続くなか、与党と支持者たちはトランプの介入に希望を託し、巻き返しを狙っている。昨年4月の総選挙で不正があったと主張し、アメリカが調査してくれると信じている>

韓国では、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が非常戒厳(戒厳令)を宣布して内乱を首謀した疑いで逮捕され、弾劾審判を受けている。この政治的混乱のなか、尹の保守与党「国民の力」が助けの手を差し伸べてくれると期待するのがドナルド・トランプ米大統領だ。

1月19日、尹を支持する極右勢力が大統領への逮捕状発布に抗議して、ソウル西部地裁に乱入した。トランプ支持者による2021年1月の米連邦議会議事堂襲撃を想起させる事件だった。

その後、国民の力の議員は、尹が非常戒厳の宣布という権威主義的な手段に打って出た背景には、中国の干渉に対抗し、対米同盟を強化する狙いがあったと主張している。


ワシントンで行われたトランプの大統領就任式には、国民の力と最大野党「共に民主党」の議員も出席。自国の混乱をよそに、外交的な根回しにいそしんだ。返り咲きを果たしたトランプに尹の側近が期待しているのは、韓国国内の危機への介入だ。

国民の力の羅卿瑗(ナ・ギョンウォン)議員はワシントンに出発する前日、「(アメリカ側に)前代未聞の事態について正確に説明し、野党が尹大統領と大統領代行を弾劾するために反乱を扇動したことを詳しく伝える」とフェイスブックに投稿。

「野党が尹大統領の弾劾を試み、いかに自由民主主義的な外交を損ね、全体主義的で反自由主義的な世界観への支持を表明したかを、明確に説明するつもりだ」と彼女は書いた。

尹の弾劾を求める議案採決で羅は、与党議員の大半と同じく反対票を投じた。2月に入ってからは寒さのなか、大統領公邸前で尹の逮捕に抗議するデモにも参加した。

先端医療
手軽な早期発見を「常識」に──バイオベンチャーが10年越しで挑み続ける、がん検査革命とは
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 6
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 7
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 8
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中