最新記事
アメリカ大統領選挙

【米大統領選】6月27日にテレビ討論会が開催へ、異例の早期に現職ながら劣勢のバイデンが巻き返しを狙う

2024年5月21日(火)16時13分
ジム・ニューウェル(スレート誌政治記者)
異例の6月討論会を受け入れた両陣営の皮算用

前回大統領選でテレビ討論会に臨んだトランプ(左)とバイデン(2020年10月) MIKE SEGARーREUTERS

<6月と9月にバイデン大統領とトランプ前大統領がテレビ討論会で論戦を交わすことになった。両陣営の思惑と見どころはいかに>

唐突に、米大統領選の候補者討論会の日程が決まった。6月と9月にバイデン大統領とトランプ前大統領が論戦を交わすことになったのだ。ただし、本当に討論会が開催されれば、の話だが。

今年は米大統領選恒例のテレビ討論会が行われないのではないかと言われて数カ月。事態が急展開したのは5月15日午前のことだった。バイデン陣営が6月27日のCNN主催の討論会と9月10日のABCニュース主催の討論会の招待を受諾したと発表したのだ。

トランプ陣営も両方の討論会への参加を表明した(トランプは10月のFOXニュース主催の討論会も受諾したと述べているが、バイデンはFOXの討論会を敬遠するだろう)。

今回の動きで興味深いのは、バイデン陣営の思惑だ。バイデン支持者の間では、トランプが討論会から逃げているというのが定説だったが、実際に参加を渋っていたのはバイデン陣営のほうだった。

トランプはたびたび討論会の開催を呼びかけていたが、バイデンがトランプとの討論会に応じるとようやく表明したのは4月下旬のことだ。

アメリカの有権者がバイデンに関して最も懸念している点は、年齢と認知能力だ。全米の有権者が見ている前でとっさにうまく話せなかったら......と考えると、バイデン陣営にとって討論会に参加することのリスクは極めて大きい。

それでも討論会を実現させたいと考えたのには、理由がある。バイデンは、討論会で失態をさらすリスク以上に深刻な問題を抱えているのだ。

現時点でバイデンは、選挙戦で劣勢に立たされている。

対抗馬であるトランプは、不倫関係にあった元ポルノ女優に口止め料を支払った疑惑に関連した刑事裁判への対応が目下の「本業」と言っても過言ではない。それにもかかわらず、現職大統領が苦戦を強いられているのだ。

バイデンとしては、(裁判所がトランプの刑事裁判の様子をライブ配信でも始めない限り)トランプをテレビカメラの前に引っ張り出して、トランプ前政権に閉口していた理由を有権者に思い出させる必要がある。

そこで討論会に臨もうと考えたのだろう。

6月の討論会がうまくいけば、劣勢のバイデン陣営に弾みがつく。一方、もし9月の討論会で失敗しても、11月の本選挙投票日までには有権者の印象がある程度薄らぐはず。そんな計算がありそうだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン氏「原発周辺への攻撃」を非難、ウクライナ原

ワールド

西側との対立、冷戦でなく「激しい」戦い ロシア外務

ワールド

スウェーデン首相、ウクライナ大統領と戦闘機供与巡り

ワールド

プーチン氏、ロは「張り子の虎」に反発 欧州が挑発な
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 5
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 6
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 7
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    AI就職氷河期が米Z世代を直撃している
  • 10
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    琥珀に閉じ込められた「昆虫の化石」を大量発見...1…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中