最新記事
ロシア軍

北朝鮮供給の不良弾薬が発射前に爆発、ロシア軍兵士の自爆事故も

Russia Hurting Own Troops with Low-Quality Artillery: Ukraine

2023年12月25日(月)18時25分
アレクサンダー・ファビノ
砲撃の訓練を視察する金正恩

砲撃の訓練を視察する金正恩(2020年3月12日) KCNA /REUTERS

<弾薬不足が深刻なあまり北朝鮮製に手を出してしまった結果......>

ウクライナのロシア軍が、低品質な弾薬を使用して自分の首を絞める結果を招いている。弾薬の多くは、北朝鮮から供給されたものとみられる。

【写真】金正恩に「すり寄る」プーチンの弱々しい態度/過去のプーチンが見せた「真逆」の態度

ウクライナ軍参謀本部は先週、品質の悪い弾薬のせいでロシア軍の前線での戦闘効率が低下しており、時には自爆にもつながっていると報告した。


ウクライナ軍参謀本部の最新情報によれば、ロシア軍は、北朝鮮の低品質な弾薬を使わざるを得なくなっており、その結果、弾薬が銃や迫撃砲の中で破裂する事故が多発、装備の破損や兵士の負傷につながっているという。

ウクライナ軍参謀本部は、「弾薬の品質が悪いため、銃や迫撃砲の内部で破裂する事故がまれに発生しており、ロシア軍の兵器や人員に損失が出ている」と述べている。

このような品質不良の砲弾は特に、ウクライナ南部ヘルソン州のドニプロ川流域を本拠とする部隊で使われている。有名なミハイル・テプリンスキー大将が指揮を執る部隊だ。

コンテナ千個分以上の武器弾薬

この最新情報は、10月から11月にかけてのAP通信の報道と一致している。AP通信は、北朝鮮がウクライナでの戦争を支援するため、コンテナ1000個分以上の軍装備品や武器弾薬をロシアに送ったと報じていた。米国政府は、北朝鮮が交換条件としてロシアの軍事技術を求めた可能性が高いとして、この支援を非難していた。

CNNの報道によれば、ロシアは、2022年2月にウクライナへの本格的な侵攻を開始して以来、地上部隊の約87%、戦車の約66%を失っている。

侵攻前に36万人いた地上部隊のうち31万5000人が戦闘で失われた。または、3500両あった戦車のうち2200両、1万3600両あった歩兵戦闘車と装甲兵員輸送車のうち4400両が失われたと、アメリカのある情報機関は推定する。

この情報機関によれば、ロシアの作戦規模は縮小しており、開戦以来何も成果を上げていないと示唆する。

この評価によれば、ロシア軍には、訓練された人員、武器弾薬、軍装備品が慢性的に不足しているため、人員採用基準の緩和、ソビエト連邦時代の装備品の活用、徴兵制の強化といった手段に頼っているという。

また、ロシア国防省は数回にわたって新兵を募集しており、特定の予備役の年齢制限を引き上げている。
(翻訳:ガリレオ)


202404300507issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・メキシコ首脳が電話会談、不法移民や国境管理を協

ワールド

パリのソルボンヌ大学でガザ抗議活動、警察が排除 キ

ビジネス

日銀が利上げなら「かなり深刻」な景気後退=元IMF

ビジネス

独CPI、4月は2.4%上昇に加速 コア・サービス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    ナワリヌイ暗殺は「プーチンの命令ではなかった」米…

  • 10

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中