最新記事
ロシア軍

上官の「性奴隷」になるよう強要...ロシア女性兵士たちの「地獄」を帰還兵が告発

2023年3月31日(金)19時26分
ダニエル・オング
軍事パレードで更新するロシア軍の女性兵士たち

軍事パレードで更新するロシア軍の女性兵士たち(2020年6月) Host photo agency/Ramil Sitdikov via REUTERS

<衛生兵としてウクライナの戦地に送られたロシア軍の女性兵士が、自ら経験した軍内部の悲惨な状況を告発>

ウクライナに侵攻しているロシア軍の幹部らが、女性衛生兵に対して、自身の「性奴隷」や「戦地妻」になるよう強要している──同軍の元女性兵が、自らの経験を踏まえてそう告発した。

■【写真】ウクライナ戦争中に隊員の美人コンテストも...ロシア軍の女性兵士たち

ロシア軍の元兵士のマルガリータさんは、ラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティが28日に公開したインタビューで、戦地妻や性奴隷になることを拒否した女性衛生兵は、幹部から悲惨な虐待を受けることになるとも明かした。

ロシア軍に11年間勤務した後、2017年に退役したマルガリータさんは、子供を養うためにウクライナでの戦争の衛生兵に志願したという。訓練のため送られたロシア西部ニジニノブゴロドで、戦車小隊を指揮する大佐から「戦地妻」になるよう求められ、性的な誘いを受けたが、マルガリータさんは拒否した。

大佐は、部隊がウクライナの戦闘地域に配備された後も、マルガリータさんを誘い続けた。その後、部下に命じてマルガリータさんを夜に地べたで寝かせたり、戦闘地域へ送り込んだりと、彼女を厳しい環境に追いやったという。

「大佐と性的関係を持つことに同意するよう、彼らは私を壊そうとした。しかし、私は切り抜け、そうとわかると、彼は私を砲兵隊に送るよう命じた。危険区域、最前線だ。私がそこで死ぬと思ったのだろう」と、マルガリータさんは述べた。

マルガリータさんは、軍で受けた心的外傷に対処するため、2カ月間リハビリに励み、現在も抗うつ剤を服用している。

複数の将校の相手をさせられる女性兵も

マルガリータさんによれば、医療部隊の中で性奴隷になるよう圧力を受けた女性兵は他にも6人いるという。ある将校が酔った勢いで戦地妻を銃で撃つのを目撃したこともあり、その女性には後遺症が残ったという。

また、アリーナという女性兵は、複数の将校の相手をさせられ、部隊に戻ることはなかった。

「女性たちはたいてい、折り合いをつけている。この戦争の中で、『楽園』で暮らすほうがましだと判断したのだ。食料もタバコを与えられるのだから」とマルガリータさんは言う。

現在、ロシア軍に所属する女性兵の人数は明らかになっていないが、2021年の時点で4万人と推定され、90万人いる兵士の5%にも満たない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 5
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 6
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 7
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 8
    三船敏郎から岡田准一へ――「デスゲーム」にまで宿る…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中