最新記事

ウクライナ情勢

バフムト前線の兵士の寿命はたった「4時間」──アメリカ人義勇兵が証言

Bakhmut life expectancy near four hours on frontlines, fighter warns

2023年2月21日(火)18時43分
アンナ・スキナー

「寿命4時間の戦場」バフムトで歩兵戦闘車に乗り込んだウクライナ兵(2月11日)──Yevhenii Zavhorodnii -REUTERS

<ロシア軍の執拗な攻撃に抵抗し続けるウクライナ兵の寿命はそれほどに短く、おぞましい戦場だと義勇兵は語る>

ウクライナ東部バフムトの戦場はおぞましい――ウクライナの前線で戦っているアメリカ人義勇兵は、こう警告している。

ロシアが2022年2月にウクライナに対する「特別軍事作戦」を開始してから、まもなく1年になる。軍事専門家たちは、冬の寒さが和らいで春が近づくなか、ロシア軍が新たに大攻勢をかけるのではないかと予想している。

なかでも2022年7月から激しい戦闘が続いている要衝バフムト、元米海兵隊員のトロイ・オッフェンベッカーによれば、現地は身の毛もよだつような惨状だという。

外国人義勇兵で構成されるウクライナ防衛外国人部隊に参加しているオッフェンベッカーは米ABCニュースに対し、ウクライナ軍の兵士がバフムトの前線に立ってからの「寿命」は、わずか4時間程度だと語った。

「現地の状況はきわめて悪い」と彼は述べ、さらにこう続けた。「かなり多くの犠牲者が出ている。前線に立った兵士の寿命は、4時間程度だ」

オッフェンベッカーは、バフムトはその凄惨な状況から「肉挽き器」と呼ばれていることを引き合いに出し、戦況はまさに「混沌としている」と説明した。

ロシアは昨夏以降、バフムトの掌握を目指してこの地域に集中的に戦力を投入してきた。だがほかの数多くの地域での戦闘と同様に、ロシア軍はここでもウクライナ軍の激しい抵抗に直面している。

大攻勢は「既に始まっている」が

だがオッフェンベッカーは、現地にいるウクライナ軍の部隊があとどれだけ持ちこたえられるかは分からないとしている。彼はABCニュースに対して、バフムトに焦点を当てたロシア軍による大攻勢は、既に始まっているとの見方を示した。

バフムトの戦いでは、ロシア側もウクライナ側もかなりの戦死者が出していると言われる。オッフェンベッカーは、ロシア軍については、装備の損失や兵士の訓練不足が原因で苦戦を強いられているという報道があるものの、バフムトに対しては「ノンストップで」攻撃を仕掛けてきており、「昼も夜も絶え間なく」砲弾が飛んでくると述べた。

元米海兵隊大佐でシンクタンク「戦略国際問題研究所」の上級顧問であるマーク・キャンシアンは本誌に対し、バフムトにおける戦いは第一次大戦を彷彿とさせると言う、、「第一次大戦では戦線にはあまり動きがなかったが、兵士や装備は激しく消耗した」と述べた。

キャンシアンは、自分もほかの軍事専門家も、ロシア軍による攻勢は「一気に」行われるもので、彼らがある日突然「大規模な攻撃」を仕掛けてくると考えていた、と説明。だがバフムトの場合はそれとは異なり、一気にというよりこの地域に徐々に戦力を集中させていくつもりのように思えると述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

スイスのバー火災、約40人死亡・100人超負傷 身

ワールド

石油タンカー追跡、ロシアが米に中止を正式要請 米紙

ワールド

ロシア、ウクライナ攻撃の証拠を米に提供 プーチン氏

ワールド

アングル:注射から飲み薬へ、米の新「減量薬」の普及
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 2
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 3
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「断食」が細胞を救う...ファスティングの最大効果と…
  • 9
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 10
    【現地発レポート】米株市場は「個人投資家の黄金時…
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中