最新記事

日本社会

家事分担を妨げる「男は仕事、女は家事」という日本のジェンダー意識

2022年10月26日(水)10時45分
舞田敏彦(教育社会学者)
家事分担男女差イメージ

仕事時間が短くなれば男性が家事・育児に勤しむようになるかというと…… Tijana87/iStock.

<男性の労働時間が減っても、その分だけ家事をする時間が増えるとは限らない>

先週の記事「日本の男性の家事分担率は、相変わらず先進国で最低」で見たように、日本の男性の家事分担率は国際的に見て低い。OECDの統計によると、15~64歳男性の1日の家事等の平均時間は41分で、女性は224分(2016年)。男女の合算に占める男性の割合は15.4%でしかない。他国の同じ数値を計算すると、アメリカは37.9%、スウェーデンは43.7%にもなる。

日本の男性は、仕事時間がべらぼうに長いからではないか、という意見もあるだろう。同じくOECDの統計によると、日本の15~64歳男性の1日の平均仕事時間は452分で、アメリカの332分、スウェーデンの313分よりだいぶ長い。家事等の平均時間は順に41分、166分、171分と逆の傾向だ。

以上は3つの国のデータだが、より数を増やして、仕事時間と家事時間の関連を可視化してみる。横軸に仕事時間、縦軸に家事等の時間をとった座標上に、OECD加盟の30カ国のドットを配置すると<図1>のようになる。

data221026-chart01.png

日本は仕事時間が長く、家事等の時間は短いので右下にある。対極にあるのは、北欧のデンマークだ。傾向としては、仕事時間が長いほど家事等の時間は短い、両者はトレードオフの関係にあると言えなくもない。

仕事時間が短ければ、自宅にいる時間も長くなり、家事や育児にも勤しむようになる。いたって自然なことだ。政府の『男女共同参画白書』でも、男性が家事・育児・介護等に参画できるよう、長時間労働を是正する必要があると言及されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン大統領と外相搭乗のヘリが山中で不時着、容体懸

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 5

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 6

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 7

    「すごく恥ずかしい...」オリヴィア・ロドリゴ、ライ…

  • 8

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 9

    中国の文化人・エリート層が「自由と文化」を求め日…

  • 10

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中