最新記事

ウクライナ情勢

IAEA、2日もザポロジエ原発を調査 職員の常駐目指す構え

2022年9月2日(金)09時40分
ウクライナ南部のザポロジエ原子力発電所

国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長率いる調査団は、ロシア軍が占拠するウクライナ南部のザポロジエ原子力発電所を視察した。1日、ザポロジエ原発で撮影(2022年 ロイター/Alexander Ermochenko)

国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長率いる調査団は1日、ロシア軍が占拠するウクライナ南部のザポロジエ原子力発電所を視察した。専門家数人が残り、2日も調査を行う。グロッシ氏は原発の状況が安定するまで安心できないとし、職員を常駐させる考えを示した。

原発周辺で激しい砲撃が続く中、グロッシ氏が率いる14人の調査団は、予定から数時間遅れて原発に到着。グロッシ氏は視察後「どこに行くつもりもない」と言明し、「IAEAの専門家らが常駐することになる」と語った。同氏は原発から離れたが、ウクライナ国営原子力企業エネルゴアトムによると、IAEA職員5人が原発にとどまった。

グロッシ氏は「原発の物理的な完全性が何度も侵害されたことは明らかだ」とし、「こうしたことは継続されてはならない」と述べた。

IAEAによると、2日の調査では原発の物理的な損傷を検証し、安全装置やセキュリティーシステムが機能していることを確認、原発職員の状態もチェックする見通し。グロッシ氏は1日、調査団は視察後に報告書をまとめると述べた。

原発は3月の制圧以降、ロシア軍の支配下にあるが、ウクライナ人職員が運営に従事している。1日も砲撃が原因で原子炉1基が稼働停止を余儀なくされた。ロシアとウクライナは原発周辺の砲撃について相手側が仕掛けていると互いに非難してきた。

ウクライナのゼレンスキー大統領は原発一帯の「非武装化」とウクライナ人職員による完全な管理が必要だと改めて訴えた。

ロシアのラブロフ外相は1日、同原発が安全に稼働し、IAEA調査団が視察を完了できるよう、ロシア政府はできる限りのことをしていると主張した。

ウクライナのガルシュチェンコ・エネルギー相は1日、「最大2人」のIAEA専門家を常駐させる方向で話し合われていると述べた。

*システムの都合で再送します。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン氏「6歳児と戦っている」、大統領選巡りトラ

ワールド

焦点:認知症薬レカネマブ、米で普及進まず 医師に「

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中