最新記事

日韓関係

韓国での関心の薄さが際立つ......元徴用工「現金化」確定先送り

2022年8月24日(水)15時30分
佐々木和義

今年7月に就任した尹徳敏(ユン・ドクミン)駐日大使は日本企業の資産の現金化に反対する。尹大使は2019年、日本から一切金銭を受け取ってはならず、韓国政府と韓国企業が拠出した基金で財団を作り、補償すべきだと述べている。

大使はまた、今年8月9日の会見でも日本企業の韓国内資産を売却すれば、日韓関係が悪化し、韓国企業と日本企業の双方が莫大な損失を被るという考えを示した。日本企業の商標権や特許権などを売却しても「被害者が十分に賠償を受けられる資金が準備できるか疑問で、被害者団体は道徳的勝利だが、被害者(元労働者)に加えて、日本と韓国双方の国民や企業が大きな被害を受ける」と主張する。

韓国政府が問題解決をはかるために発足させた官民協議会に元労働者側は不参加を表明している。7月に実施した会合には元労働者の関係者が出席して意見を述べたが、8月9日の会合には出席しなかった。

韓国での関心の薄さが際立っている

慰安婦問題では国を挙げて日本に謝罪と賠償を求めた韓国だが、元労働者に同調する人はとんどいない。慰安婦は日韓国交正常化交渉で議題となることはなく、日韓基本条約に基づく賠償には含まれていないという解釈が可能だが、元労働者への賠償金は条約に含まれている。

慰安婦問題では、知人はもとより見ず知らずの韓国人から日本人は謝罪すべきだと詰め寄られたことが幾度かあるが、徴用工が話に出ることはなく、三菱の資産現金化と抗告棄却そのものを知らない韓国人も少なくない。日韓問題に関心がある知人ですら棄却の先送りを知らなかったと話しており、関心の薄さが際立っている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

マスク氏が訪中、テスラ自動運転機能導入へ当局者と協

ワールド

ハマス代表団、停戦協議でカイロへ 米・イスラエル首

ワールド

バイデン氏「6歳児と戦っている」、大統領選巡りトラ

ワールド

焦点:認知症薬レカネマブ、米で普及進まず 医師に「
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中