最新記事

サウジアラビア

サウジ当局、あらゆる虹色のおもちゃを押収 「子供の同性愛を助長」

2022年6月30日(木)16時35分
青葉やまと

英BBCのウルドゥー語チャンネルにも、応酬を肯定的に捉えるコメントが相次いだ。ウルドゥー語はパキスタンの言語で、インドでも公用語のひとつに採用されている。視聴者らは、「すばらしい一歩に本当に感謝。史上最高の行いをしてくれたサウジアラビア政府よ、ありがとう」「私の国のパキスタンも、アラーがこの悪魔のような問題から救ってくれますように」などの反応を残している。

今春以降、映画の取り締まりも話題に

多くの湾岸諸国と同じく、サウジアラビアはLGBTQへの取り締まりを強化している。5月にはマーベル・スタジオによる人気映画シリーズの続編『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』が公開される予定だったところ、上映が見送られた。同性愛者のキャラクターを導入したことが問題となり、検閲を通過できなかった。

芸能ニュースを扱う米ハリウッド・リポーターは4月、サウジアラビアで同作の上映が禁止され、クウェートでも同様の対応となる見込みだと報じた。サウジ当局は、配給元のディズニーが一部シーンの修正の要請に応じなかったとしている。

6月中旬には、ピクサーが生んだ人気シリーズの最新作『バズ・ライトイヤー』も上映禁止となることが判明した。映画・エンタメ関連ニュースサイトの米デッドラインは、女性同士のキスシーンが問題となったと報じている。アラブ首長国連邦やエジプトなど中東の国々に加え、ムスリムの人々が多く住むマレーシアとインドネシアでも配給の許可を取得できなかった。

同性愛への理解は個人によっても異なるところではあるが、欧米社会全体の傾向としてみるならば、違いを認めてゆく運動と法整備が進みつつある。一方、文化的・宗教的価値観の影響から、サウジなど中東の事情はこれと大きく異なるようだ。


>>■ ■【動画】サウジ政府関係者、虹色商品を床に投げ捨て■ ■

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ」「ゲーム」「へのへのもへじ」

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 6

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 7

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 8

    走行中なのに運転手を殴打、バスは建物に衝突...衝撃…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中