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こっそりカンボジアに拠点を作った中国人民解放軍に、慌てるアメリカ

A Secret Base

2022年6月16日(木)15時15分
セバスチャン・ストランジオ

真実はどうあれ、欧米メディアの過熱報道は、アメリカの外交政策の失敗という視点を欠いているようだ。WSJの記事が出るまで、カンボジアは総じてアメリカの外交政策で忘れられた存在だった。

1992〜93年に国連の監視のもと一党独裁から多党制に移行して以来、アメリカはカンボジアを戦略的重要性の低い国と見なしつつ、「民主主義の拡大」という理想の押し付けに終始してきた。

フン・セン首相とカンボジア人民党は、そんなアメリカの真意を疑っていた。フン・センは、ベトナム戦争時代に米軍の絨毯(じゅうたん)爆撃を目撃し、80年代にはアメリカ主導の経済制裁も経験した。彼がアメリカに背を向けて中国に傾くことは、合理的に予測できた。

カンボジアに中国の軍事的プレゼンスが構築されるとすれば、それは中国政府とカンボジアの悪徳エリート層の利己的選択であるのは間違いない。だがそれは、アメリカの30年にわたる対カンボジア政策の失敗も意味している。

©2022 The Diplomat

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