最新記事

中国

【再現動画】東・南シナ海で中国機がカナダ機と豪機に仕掛けた危険な嫌がらせ

China Fires Back at Canada and Australia Over Actions of Air Force Pilots

2022年6月8日(水)17時20分
ジョン・フェン

南シナ海上空で豪哨戒機に「横付け」しフレアを放射した中国のJ-16戦闘機 9 News Australia/YouTube

<軍事力の増強に伴い、東シナ海や南シナ海で中国軍機の攻撃的な行為がますます目立ってきた。カナダ政府やオーストラリア政府の抗議にも非を認める気配はない>

カナダとオーストラリア両政府は、公海上空で自国の哨戒機が中国軍機に異常接近されたと中国を非難しているが、中国は挑戦的な姿勢で反駁している。

中国国防省の報道官らは、両国の哨戒機による情報収集活動を非難し、人民解放軍空軍のパイロットの行動は適切かつ合法的であると主張した。

カナダ空軍機は、国連決議に基づく東シナ海での任務遂行中に「軍人としての倫理に反する」中国軍機の異常行動に遭遇したという。オーストラリアは、南シナ海で通常の哨戒活動を遂行中の空軍機が、中国軍機に異常接近されたと発表した。

中国は両海域で領有権を主張し、その主張を強化するために戦闘機による哨戒活動を増やしている。

中国国防部の呉謙(ウー・チエン)報道官は6日に声明を発表。「最近、カナダ軍機は国連安全保障理事会決議の履行を口実に、中国に対する近接偵察と挑発を強化している」と述べ、カナダの航空機は「中国の国家安全保障を脅かし、最前線で活動する両国の兵員の安全を危険にさらしている」と主張した。

さらに「カナダ軍機による挑発行為と非友好的で軍人としての倫理に反する作戦に対し、中国軍は合理的、効果的、安全かつ軍人として当然の行動を取った」と述べた。

呉によれば、中国は外交ルートを通じてカナダに抗議を申し入れ、カナダ軍に 「前線部隊の厳格な規律」を求めたという。

中指を立てたパイロット

呉報道官の反論は、カナダ軍が出した6月1日の声明に対するものだ。カナダ軍の発表によれば、東シナ海上空で任務遂行中のカナダ空軍CP-140海上哨戒機が、中国軍機に繰り返し異常接近された。カナダ空軍機は東シナ海における国連安全保障理事会の北朝鮮制裁に対する違反活動を監視するネオン作戦に従事していた。

220608canada.jpeg

同日、カナダのグローバル・ニュースは、中国の戦闘機パイロットは6〜30メートルの距離まで近づき、カナダ軍機のコックピットにいる乗員と目を合わせ、中指を立てたと報じた。

同じく中国国防部の譚克飛(タン・ケフェイ)報道官は7日、オーストリア政府に同様のメッセージを伝えた。同報道官は、オーストラリアの航空機が南シナ海のパラセル諸島沖で偵察を行うため「中国領空に繰り返し接近」したと述べた。中国が西沙と呼ぶパラセル諸島は、ベトナムも領有権を主張している。

譚は、オーストラリア軍機が「中国の主権と安全を著しく脅かした」と述べた。そして、オーストラリア軍機を特定し、空域から立ち去るよう警告を与えた中国機の対応は「軍人として当然であり、安全で、合理的で、合法的だった」と語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB、ディスインフレ確信も「予想より時間かかる」

ワールド

パレスチナ国家、一方的承認でなく交渉通じた実現を=

ビジネス

米4月中古住宅販売、前月比1.9%減の414万戸 

ビジネス

米S&Pの年末予想中央値5300近辺、調整リスクも
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結果を発表

  • 2

    「目を閉じれば雨の音...」テントにたかる「害虫」の大群、キャンパーが撮影した「トラウマ映像」にネット戦慄

  • 3

    高速鉄道熱に沸くアメリカ、先行する中国を追う──新幹線も参入

  • 4

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 5

    魔法の薬の「実験体」にされた子供たち...今も解決し…

  • 6

    「テヘランの虐殺者」ライシ大統領の死を祝い、命を…

  • 7

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 8

    イスラエルはハマスの罠にはまった...「3つの圧力」…

  • 9

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 4

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 7

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 10

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中