最新記事

中国社会

中国初のセックスドール風俗店を当局が閉鎖 理由示さず

Police Shutter China’s First Sex Doll Brothel FOTOGRAFIA INC./iSTOCK

2021年3月25日(木)18時14分
ジョン・フェン
セックスドールのイメージ

売春禁止法に抵触しないことは当局も認めているが FOTOGRAFIA INC./iSTOCK

<人形が客の相手をする深圳の人気店が突然閉鎖に追い込まれたのはなぜ? どんな店だったのか?>

中国で、セックスドールが客の相手をする風俗店の草分けが当局に閉鎖された。

広東省深圳にあるその店は地元の客で賑わっていたが、警察の指示で今月突然、閉鎖に追い込まれた。経営者のリー・パイ(34)は処分を不服として訴訟を検討している。

リーは市内で2店舗を経営。警察が捜査終了までの暫定措置として閉鎖を命じるまで、どちらも大繁盛していた。

処分の理由は明らかにされておらず、閉鎖はとうてい納得できないと、リーは3月23日、上海に拠点を置くオンラインのニュースメディア・澎湃新聞に語った。

「当局は何らかの指針を示して、このビジネスが存続できるようにすべきだ。これは確実にニーズがあるサービスで、多くの利用者が存続を望んでいる」

リーが深圳の竜華区に1号店Ai Ai Leをオープンしたのは2018年9月のこと。竜華区は、電子機器の受注生産の世界最大手で、iPhoneの部品などを生産している台湾企業フォックスコン(鴻海科技集団)が、中国における最初の工場を建てた地区として知られる。住民の大半は工場で働く男たちで、リーは「商機あり」と見て、出店を決めた。

競合店が続々と出現

地元メディアによると、この地区には工場勤めの12万人の単身男性がいる。女性の工場労働者との人口比は5対1で、圧倒的な「男の街」だ。組み立てラインで働く男たちの間で、リーの店の評判は口コミで広がり、1日にざっと70人の客が詰めかけるようになった。

リーは地元政府に宛てた3月22日付の公開書簡で、店をオープンする前に、この種のビジネスに詳しい法律の専門家に助言を求め、地元当局に何度も足を運んだと述べている。

中国には売春を禁じた法律があり、違反すれば最高で10年の懲役刑となる。リーは店がこの法律に抵触しないことを確認した上で、サービスを開始した。中国ではセックス産業を白い目で見る風潮があり、セックスドールを使った店もタブー視されるが、法的にはグレーゾーンながらも営業はできると、専門家のお墨付きをもらえたからだ。

料金は1時間で98〜228元(約15〜35ドル)。このビジネスに手応えを感じたリーは、1号店に続いて数カ月後に、深圳の竜崗区にある華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の本社近くに2号店をオープンした。

リーの店の繁盛ぶりを見て、二匹目三匹目のドジョウを狙う業者が現れ、今や深圳では10数の競合店がしのぎを削っているが、本家本元にはかなわないと、リーは胸を張る。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

物価目標の実現は「目前に」、FRBの動向を注視=高

ビジネス

財新・中国サービス部門PMI、6月は50.6 9カ

ビジネス

伊銀モンテ・パスキ、メディオバンカにTOB 14日

ビジネス

カナダ製造業PMI、6月は5年ぶり低水準 米関税で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索隊が発見した「衝撃の痕跡」
  • 3
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 4
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 5
    米軍が「米本土への前例なき脅威」と呼ぶ中国「ロケ…
  • 6
    熱中症対策の決定打が、どうして日本では普及しない…
  • 7
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    「22歳のド素人」がテロ対策トップに...アメリカが「…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 6
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 7
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 8
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 9
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 10
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中