最新記事

中国社会

中国初のセックスドール風俗店を当局が閉鎖 理由示さず

Police Shutter China’s First Sex Doll Brothel FOTOGRAFIA INC./iSTOCK

2021年3月25日(木)18時14分
ジョン・フェン

リーは先週、香港の鳳凰衛星テレビの取材に応じ、自分のビジネスは労働者階級のニーズに応えていると言われるが、それはちょっと違うと語った。

「労働者階級のニーズじゃない。男のニーズだ」

リーの店のセックスドールはシリコン製で、形状もサイズも様々。客が人肌のぬくもりを感じられるよう、40℃前後まで温めることもできる。

店内には照明を抑えた部屋がいくつもあり、客は自分の趣向に合わせ、オフィスやホテル風の部屋、刑務所の独房、病院のベッド、教室など、様々なシチュエーションを選べる。

webw210325_sexrobot_4_5.jpg
Ai Ai Le

最安料金の15ドルで利用できるのは下半身だけのセックスドール。手っ取り早く「目的を果たせる、おトクなサービス」だと、リーは言う。

webw210325_sexrobot2.jpg
PHOENIX TELEVISION

「以前、週に1回来店する客がいた」と、リーは鳳凰テレビに語った。「話を聞いてみると、なんと妊娠中の奥さんに勧められて通い始めたというんだ。その客は奥さん以外とセックスしたことはないらしい」

客層は幅広い。性的欲求は、社会的地位や年齢に関わらず、「誰にでもある」と、リーは言う。

「ある時、歩行が困難な障害のある客がサービスを利用し、こんな感想を述べた。『今まで性欲を満たすのに屈辱的な思いに耐えてきたが、今回初めて自分の尊厳を保ってセックスを楽しめた』と。それを聞いて、これはやる価値があると使命感に燃えた」

「衛生管理も万全だ」

竜華区、竜崗区の2店舗とも3月11日に閉鎖に追い込まれたが、いまだに警察はその理由を明らかにしていないと、リーは言う。

多くの客がセックスドールを使うため、公衆衛生上の懸念から捜査が入ったとも考えられるが、リーによれば、昨年新型コロナウイルスの感染拡大で一時休業し、サービスを再開したときから感染対策を徹底している。衛生管理も万全なら、顧客の個人情報もきちんと管理しており、当局に睨まれるような問題は一切ない、とリーは断言する。

地元政府はAi Ai Leが売春禁止法に抵触しないことを認めたと、澎湃新聞は23日に伝えた。

中国のソーシャルメディアでは、この話題がトレンド入りし、リーのビジネスを応援する声が高まっている。(長く続いた一人っ子政策のせいで)女性より男性が多いこの国では、セックスドールの性サービスには切実なニーズがありそうだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

マクロスコープ:春闘26年は4%台確保か、円安効果

ビジネス

春闘賃上げ率5.25%、34年ぶり高水準 ベア3.

ビジネス

中国ハイテク大手、オフショア元ステーブルコインを提

ワールド

ロシアの6月サービスPMIは49.2、1年ぶり50
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索隊が発見した「衝撃の痕跡」
  • 3
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 4
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 5
    米軍が「米本土への前例なき脅威」と呼ぶ中国「ロケ…
  • 6
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 7
    熱中症対策の決定打が、どうして日本では普及しない…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 10
    「22歳のド素人」がテロ対策トップに...アメリカが「…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 7
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 8
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 9
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 10
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中