最新記事

アメリカ経済

アメリカ雇用回復が鈍化 コロナショック直撃職種に「失業長期化」の懸念

2020年10月10日(土)10時23分

グロリベル・カスティロさん(50)は7月上旬、ベッドメークや清掃などの仕事を担当していたマンハッタンのホテルから今年2回目の自宅待機を言い渡されて以来、働けずにいる。全米旅行産業協会の報告書は9月21日の週で、ニューヨーク州着の航空会社の国内線と州内のホテル予約件数が前年比81%減だったと記しており、現状は厳しい。

別の仕事に就ければうれしいというカスティロさんだが、税引き前でおよそ週1400ドルの賃金や手厚い医療制度、残業手当というこれまでの好待遇が引き続き得られるかどうか不安も抱える。そのためホテルが今春、医療従事者の拠点になったことで従業員を呼び戻したような事態がまたあるのではないかとの期待を捨てていない。当面は、週に442ドル受け取っている失業保険給付金に加えて、低所得者向け食料支援サービス(フードスタンプ)を申請することを検討中。それでも家賃と光熱費で1300ドル近く支払うと、自分と娘の食費として残るのは毎月100ドル程度にすぎない。

職業訓練求める声

雇用の伸びが鈍る中で、働けない期間が長くなっている人が増えている。

米労働省によると、27週間以上仕事をしていない人は9月に78万1000人増えて240万人になった。これと別に完全解雇されたのは34万5000人増の380万人に上った。

一部のエコノミストは、2008年の金融危機と同じようにパンデミックが労働市場の構造の長期的変化の引き金になったのではないかと懸念している。08年当時は、経費節減や技術の発展によって、事務、管理、製造、建設といった職種で雇用が落ち込み、二度と07年の水準に戻らなかった。

政策担当者からは、労働者が新たな仕事を得るための訓練を受ける必要が出てきているのではないかとの声も聞かれる。リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は先週ブルームバーグテレビで、失業者のキャリア再構築支援が「われわれの取り組みにとってかなり重要な項目」だと認めた。

元バーテンダーのシーバーズさんは、コンピューター系の技術習得を検討している。「前の仕事に戻れなければ、もっと将来性のある別の仕事を見つけ出すだけだ」と前を向いた。

(Jonnelle Marte記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


20240521issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月21日号(5月14日発売)は「インドのヒント」特集。[モディ首相独占取材]矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディの言葉にあり

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか

ワールド

北朝鮮の金総書記、核戦力増強を指示 戦術誘導弾の実

ビジネス

アングル:中国の住宅買い換えキャンペーン、中古物件

ワールド

アフガン中部で銃撃、外国人ら4人死亡 3人はスペイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 5

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    無名コメディアンによる狂気ドラマ『私のトナカイち…

  • 8

    他人から非難された...そんな時「釈迦牟尼の出した答…

  • 9

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 10

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中