最新記事

感染症

SNSで嫌がらせやデマ横行 新型コロナウイルスで理性失うインド市民

2020年4月3日(金)10時08分

隔離者リストが拡散

インド政府は20日、ソーシャルメディア企業に対し、偽情報や感染拡大に関する未検証のデータの拡散を取り締まるよう求める勧告を発布。政府高官も動員してフェイクニュースの摘発に乗り出した。

インドの民間ファクトチェック企業2社がロイターに明らかにしたところでは、インドで感染者が最初に確認されて以来、ソーシャルメディアで誤情報やフェイクニュースが急増している。

「ニュースチェッカー」の発行人ラジネイル・カマス氏は、大きな政治イベント期間中の誤情報の急増ぶりにそっくりだと指摘する。インド各地の言語で問い合わせも殺到しているという。「だれもが『これは本当ですか』と聞いてくる」

オンラインのプラットフォームを使い、リスクが高いとされる地域から最近帰った人や、感染者と接触した可能性のある人を特定しようとする動きも見られる。

南部カルナタカ州当局は、複数地域で隔離されている人々のリストをオンラインに載せ、それが対話アプリ「ワッツアップ」の地元グループでシェアされている。

住所も記載されているこのリストを元に、ユーザーが自分の郵便番号を入力して近所で隔離されている人がいないか調べられるウェブサイトも登場した。

28日夕方時点で、インドで確認された感染者は909人、死亡者は19人。サミルさんは西ベンガル州で死亡した1人目の新型コロナ患者となった。

インドの保健当局は、国内の感染者は感染拡大地域への渡航歴がある人々や、そうした人々と接触した人々におおむね限られていると発表している。

しかし5月半ばまでに10万人以上が感染する可能性があるとの予測もあり、老朽化したインドの医療体制に厳しい重圧がかかる恐れがある。

[ニューデリー/コルカタ ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・BCGワクチンの効果を検証する動きが広がる 新型コロナウイルス拡大防止に
・スペイン、新型コロナウイルス「都市封鎖」で約90万人失職
・日本が韓国の新型コロナウイルス対策から学べること


cover200407-02.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月7日号(3月31日発売)は「コロナ危機後の世界経済」特集。パンデミックで激変する世界経済/識者7人が予想するパンデミック後の世界/「医療崩壊」欧州の教訓など。新型コロナウイルス関連記事を多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国、26年投資計画発表 420億ドル規模の「二大

ビジネス

中国製造業PMI、12月は9カ月ぶり節目回復 非製

ワールド

台湾は警戒態勢維持、中国船は撤収 前日まで大規模演

ワールド

ペルーで列車が正面衝突、マチュピチュ近く 運転手死
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中