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対談

トイアンナ×田所昌幸・師弟対談「100年後の日本、結婚はもっと贅沢品に」

2020年1月8日(水)15時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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トイアンナ/恋愛・キャリア支援ライター。慶應義塾大学法学部卒。外資系企業でマーケティングを担当。キャリアや恋愛について執筆しつつ、マーケターとしても活動。主な著書に『モテたいわけではないのだが――ガツガツしない男子のための恋愛入門』(イースト・プレス)、『就職活動が面白いほどうまくいく――確実内定』(KADOKAWA)など。(写真:遠藤 宏)

「養殖物とは結婚したくない」と言い出す人が出てくる?

田所 格差の話をすると、どんな女性がどんな男性を望ましいと思い、どんな男性がどんな女性を望ましいと思うのかという基準が変わることはないのでしょうか?

アンナ 直近の傾向だけで言うと、かなり画一化が進んでいます。90年代までは交際する異性の数が多いので、自分の好みを醸成することができました。でも、今の人は遊ばない。すると最初の失敗を恐れて、ネット上で自分を承認してもらえそうな人を選ぶようになります。すると画一化された「イケメン」に収斂されていきます。

田所 個人の感情よりも市場の格付けと判断に男女関係も左右されやすくなるということですね。そういった、日本女性の結婚観について、アンナさんはどう考えてるんですか?

アンナ:これまで18歳から45歳までの女性1200人ぐらいにお話を伺ってきました。どの世代にも共通しているのは、価値観に対するインプットは二つのものから受けていることです。一つが親、もう一つがメディア。ですから、そのときに流行したメディアと親のインパクトが重なったときに結婚観に強く出ます。

面白いのは、今の20代前半の女性が、高級な店でデートしたがることです(*1)。しかし、20代後半から30代前半の女性ではその額は下がります。また、20~30代の男性の9割がデートでのお会計を多めに支払うか、もしくは全額奢っているというデータもあります(*2)。つまり、20代前半の若い女性がどの世代の男女よりも多額の奢りを経験しているのです。

*1:https://dime.jp/genre/816535/
*2:https://www.buzzfeed.com/jp/akikokobayashi/warikan

この背景に「今の20代前半は親がバブル世代」という因子があると、仮説を立てています。メッシー君(ご飯を自分に奢らせるためだけの交際相手)とかやってた女性たちが、まさに今、親なのです。

田所 男性にとっては大変ですね。

アンナ 実質所得は下がっているのに、バブルな価値観を強いられる。実際の経済状況と乖離していても、親の影響は必ず受けます。逆に今10歳前後の子は、親が氷河期世代です。ですから、かなり禁欲的で堅実志向になるという予想が立ちます。

これを連鎖的に繰り返していくと、100年後を予想することはできます。しかし、バブルのような突然変異が発生してしまうと、途端にこのパターンが崩れてしまうので確実なことは言えません。

田所:確かに100年というスパンになると、正直難しいですね。では、世代の再生産という問題ですが、日本社会は婚外子をどれくらい許容するようになるでしょうか?

アンナ 「婚外子を認めます」というような風潮が日本ではあまり好まれないので、最終的に「ナニナニ婚」という、法律婚以外の単語が生まれるのではないでしょうか。今だと、「事実婚」がそれにあたりますね。

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