最新記事

台湾

台湾は民主を守れるか――カギを握るのは若者

2019年9月27日(金)10時47分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

そして、どのようなことがあっても「一国二制度」には断固反対するというメッセージを染み渡らせた。香港の逃亡犯条例改正案に対しても、たとえ香港が改正しても、「逃亡犯を引き渡せとは言わない。逃亡犯など欲しくない。だから改正案には反対だ」という意思表明も忘れなかった。

こうして香港の若者と台湾の若者の共鳴も生み出している。

2020総統選は世代間対決

今年7月15日に台湾の国民党内の総統選予備選挙で韓国諭が勝利し、郭台銘が破れて国民党を離党したのだが、それを受けて台湾の多くのシンクタンクや調査会社などが民意調査をおこなった。その結果、総統選候補者に対する支持率には年齢が大きく影響していることが分かった。

それらの民意調査によれば、若年層(20歳から40歳までの選挙民)の韓国諭に対する支持率はわずか25.6%しかなく、50歳から59歳までの選挙民の韓国諭に対する支持率53.7%の半分以下であることが分かった。

一方では、親緑の(民進党側を支持する)「両岸政策協会」は総統選における蔡英文の支持率が45.9%で韓国諭への支持率が39%であるとしたうえで、「若年層の蔡英文に対する支持率は非常に高く、20歳から29歳の選挙民の60%が蔡英文を支持している。それに対して同年代の韓国諭への支持率はわずか30%でしかない」と発表している。

したがって総統選は、「世代間の対決になる」と両岸政策協会の王智盛秘書長は語っている。

聯合新聞網(網:ネット、ウェブサイト)を含む5つのネット民意調査会社はフェイスブックでの総統選に誰を投じるかを調査するため投票を呼び掛けたようだが、蔡英文が大きく韓国諭をリードしているという。一様に「蔡英文と韓国諭との差は、40%から80%に至る」というデータを出している。

もっとも、フェイスブックの調査であるならSNSは主として若者が使うメディアなので、蔡英文の支持度が高くなるのは当然の結果だろう。それでもなお、40歳以下は蔡英文優勢で、40歳以上は韓国諭優勢という結果が出ている。香港でも同じだが、熟年層になればなるほどビジネスを重んじて、親中へと傾く傾向にある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米テスラCEOの560億ドル報酬案に反対を、助言会

ワールド

ニューカレドニアの非常事態宣言、28日解除へ 仏大

ワールド

南ア大統領、総選挙控え雇用対策など強調 与党の求心

ワールド

フーシ派が100人超の「囚人」解放、誘拐された民間
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    カミラ王妃が「メーガン妃の結婚」について語ったこ…

  • 5

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 6

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 9

    胸も脚も、こんなに出して大丈夫? サウジアラビアの…

  • 10

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 3

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 4

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 7

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 8

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 9

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 10

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中