最新記事

中国社会

安全よりスピード重視 中国、食事のデリバリーブームで事故急増

2017年10月3日(火)08時45分

国営メディア「法制網」は当局に対し、「大衆を動員して」スマートフォンなどのカメラを使い、違反者を通報させ、会社を処罰するよう促した。配達員は、目立つ色の制服を着ているため判別が可能だ。

配達員が蛍光イエローの制服を着ている「美団外売」の広報担当者は、ドライバー向けに安全運転訓練を行っており、7月は300回以上の訓練を実施したと語った。翌月には、事故の発生件数が13・6%減少したという。

「Ele.me」の広報担当者は、配達員には「安全第一、スピード第二」と指導しており、配達員による交通規則違反を記録するシステムを導入、事故を通報した通行人に謝礼を渡す方針を決めたと語った。

スピード第一

中国の配達員が、米国などで配達員が直面する強盗や銃撃の被害に遭遇することはまれだが、都市部の交通量の多い道路を利用するため、負傷することは多い。

事故の責任は通常ドライバーが負うが、労働運動家や多くのドライバーは、スピードが必須のインセンティブに問題があると訴える。

香港を拠点に中国全土の労働問題を扱う非政府組織「中国労工通訊」によると、苦境を訴える配達員は増えており、賃金改善や事故の際の補償を求める抗議活動やストライキが起きている。

配達が遅れたり、利用者からの評価が悪いとドライバーが罰金を取られるだけでなく、会社側が事故の保険や補償を提供していないことさえある、と配達員は指摘。一方、会社側は、ドライバーは公的または第3者の損害賠償保険に加入していると説明する。

ロイターが取材した複数の配達員は、10─12時間のシフト1回につき、最大40件の配達を任されていると語る。配達1件の所要時間は30分以下に設定されており、時間内に配達し、利用者から高評価を得ると、1件につき5元(約84円)が給料に加算される。

配達員は通常、オンライン出前サービスのプラットフォーム運営会社に直接雇われるのではなく、フリーランスだったり、別会社に雇用されているため、運営会社と直接コンタクトを持つことはない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中