最新記事

代謝機能

睡眠時間が少ない人ほど、ウェストサイズが大きい──研究結果が明らかに

2017年8月8日(火)15時30分
松岡由希子

Spauln-iStock

<英リーズ大学の研究プロジェクトは、睡眠時間と代謝との関連を解明する研究結果を発表し、「睡眠時間が長いほど、ヒトの肥満度を表わす指数が低くなり、代謝状態がよい」ことを明らかにした>

肥満の一般的な原因として過食や運動不足がよく挙げられているが、実は、これまであまり注目されてこなかった"睡眠時間"も肥満と何らかの関連性があるようだ。

英リーズ大学のローラ・ハーディー博士を中心とする研究プロジェクトは、2017年7月、科学雑誌『プロスワン』において、睡眠時間と代謝との関連を解明する研究結果を発表し、「睡眠時間が長いほど、ヒトの肥満度を表わすBMI(ボディマス指数)が低くなり、代謝状態がよい」ことを明らかにした。

睡眠時間が1時間長くなると、胴囲は0.9センチ細くなった

この研究プロジェクトでは、19歳から65歳までの英国成人1,615名を対象に、睡眠時間と過去4日の食事についてヒアリングしたうえ、血圧と身長、体重、胴囲を測定し、採血を実施。血液検査では、ブドウ糖の代謝に異常が生じる『2型糖尿病』や肥満といった代謝性疾患と睡眠時間との臨床的関連性を解明するべく、脂質代謝や甲状腺機能、全身性炎症について詳しく分析した。

これらのデータをもとに研究プロジェクトが分析した結果、睡眠時間が長くなるほどBMIと胴囲が減少。1晩6時間睡眠をとる成人は9時間睡眠の人よりも胴囲が3センチ太かった。睡眠6〜9時間の範囲では、睡眠時間が1時間長くなるごとに、BMIの値が0.46低くなり、胴囲は0.9センチ細くなったという。

また、睡眠時間が長いほど、"善玉コレステロール"と呼ばれる『HDLコレステロール』が大きくなり、糖と結合するヘモグロビンの割合を示す『HbA1C』が小さくなるなど、血液検査からも代謝状態が良好であることがわかった。

現代人の睡眠不足が肥満の増加につながっている?

世界保健機関(WHO)によると、肥満は世界全体で1980年以来、倍増しており、2014年時点で18歳以上の成人の39%が過体重、13%が肥満の状態だ。

その一方で、日本やドイツなどの欧州5カ国で平均睡眠時間が1960年代より短くなっているほか、米国人の2013年時点の平均睡眠時間が1942年に比べて約1時間短くなるなど、現代人は睡眠時間が短くなる傾向が見受けられる。

「睡眠時間が短い人ほど、肥満や代謝性疾患になりやすい」というこの研究結果によれば、現代人の睡眠不足が肥満の増加につながっているとも推測できそうだ。

お腹周りが気になりはじめたら、食生活や運動習慣だけでなく、睡眠時間も合わせて見直してみることが肝要かもしれない。


【参考記事】「チョコレートは、あなたの脳力をブーストする」との研究結果
【参考記事】男性にもある「妊娠適齢期」 精子の老化が子供のオタク化の原因に?

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米、イランに15項目の計画送付 中東戦争終結目指し

ビジネス

三井住友FG、米ジェフリーズ買収計画は当面ない=B

ワールド

アングル:原油先物、トランプ氏「攻撃延期」投稿直前

ビジネス

FRB、金利据え置き「当面」必要となる可能性=バー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆保険」を達成した中国の医療保険の実態とは
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下位になった国はどこ?
  • 4
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 5
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 6
    スペイン王室、王妃と王女の装いに見る「母から娘」…
  • 7
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 8
    「日本人のほうが民度が低い」を招いてしまった渋谷…
  • 9
    表情に注目...ニコール・キッドマン、大富豪夫妻から…
  • 10
    イラン戦争、トランプを泥沼に引きずり込む「5つの罠…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中