最新記事

AI

ウォール街を襲うAIリストラの嵐

2017年8月3日(木)17時00分
ケビン・メイニー

それでもミネビッチは金融界のAI化は全体としてプラスになると言う。これまで長年ウォール街に優秀な人材が集中し過ぎていた。アメリカの名門ビジネススクール10校の卒業生の3人に1人が金融業界に入る。医療業界に就職するのはわずか5%。エネルギーと製造業に入る卒業生はさらに少ない。

金融業界に集中していた優秀な頭脳が別の分野で生かされたら、社会全体が恩恵を受けるだろう。特に慢性的な技術者不足に悩むIT業界にとって、金融業界の頭脳流出は渡りに船だ。金融業界からリストラされた人材がニューヨークに残るなら、「ニューヨークはシリコンバレーに匹敵するITの中心地になる」と、ミネビッチは言う。

【参考記事】豪華なドーナツ型新社屋はアップルの「墓標」になる?

つぶしが利く点が有利

若き数学の天才たちが金融工学のプロとして不要になれば、温暖化対策や医療の分野でその頭脳を生かすだろう。サイバーセキュリティーの分野でも活躍できそうだ。国家安全保障局(NSA)のウェブサイトには国家機密をサイバー攻撃から守る「数学者を積極的に探している」との告示がある。

NSAが数学者に払う給与は年間10万ドル前後。ヘッジファンド時代に比べたら、生活はぐっと質素にならざるを得ない。だが、少なくともトレーダーや金融工学のプロには転職先がある。その点ではAIに職を奪われる多くの労働者よりも恵まれている。

AIのファンド運用にはもう1つメリットがある。既にAI化を終えたヘッジファンド、アイデア社の主任科学者ベン・ゲーツェルは「私たちが全員死んでも、AIは取引を続ける」と言っている。たとえ核戦争が起きても、生き残った人たちは年金ファンドの高利回りを享受できるというわけだ。

<本誌2017年7月18日号「特集:日本人が知らないAI最前線」掲載記事>

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米イスラエル首脳が会談、イラン核協議巡り見解に隔た

ビジネス

1月米雇用、13万人増と1年超ぶり大幅増 失業率4

ワールド

米テキサス空港の発着禁止解除、対無人機システム巡る

ビジネス

26年度の米財政赤字は1.853兆ドルに拡大の見通
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 5
    一体なぜ? 中国でハリー・ポッターの「あの悪役」が…
  • 6
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 7
    【独自取材】「氷上のシルクロード」を目指す中国、…
  • 8
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 9
    まさに「灯台下暗し」...九州大学の研究チームが「大…
  • 10
    あなたの隣に「軍事用ヒト型ロボット」が来る日
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中