最新記事

スーパーフード

そのメタボ、「ガリ」が解消します!? 

2017年6月5日(月)15時15分
松丸さとみ

MarkGillow-iStock

世界の人口の4分の1が、メタボリックシンドロームに悩まされているらしい。そんなお腹周りのぜい肉が気になる人に朗報だ。生姜がメタボリックシンドロームに効くことが分かった。

世界で愛されるスーパーフード

生姜といえば、世界のあらゆるところで愛されている食べ物のひとつだ。日本ではガリとして寿司屋や牛丼店などに必ずあるし、欧米ではジンジャービスケットとして子供にも人気がある。

そんないたって日常的な食材の生姜が、メタボや糖尿病、心臓疾患などに対抗するスーパーフードだというのだ。60の研究結果を検証したレビューがアナルズ・オブ・ザ・ニューヨーク・アカデミー・オブ・サイエンスに発表されたとタイム誌が伝えた。

メタボの各症状を緩和

検証によると、生姜の成分が、脂肪燃焼、糖質消化、インスリン分泌などに効果を発揮するという。また生姜には、細胞の老化である酸化的ストレスを抑制したり、炎症を抑えたり、コレステロールや血圧を下げる効果があることも分かったという。さらに、動脈硬化の一種であるアテローム性動脈硬化を低減する可能性もある。

レビューによると、検証した研究では、生姜を食べることでカロリー消費が増加し、空腹感の緩和にもつながる可能性が示されており、つまりは体重減少につながる可能性が大いにありそうだという。

ここまで読むと生姜はいいことずくめのようだ。でも残念ながら、生姜の化学成分が複雑なことや資金不足が原因で、人間を対象とした臨床実験はあまり多く行われていないのが現状らしい。生姜の効果に関する調査は、動物実験や試験管実験によるものの方が多く存在するという。今回の60件の研究中、人間での臨床実験は10件のみだった。

【参考記事】チャリ通は長寿の秘訣。がんや心臓疾患のリスクが4割減

メタボ対策だけじゃないジンジャー・パワー

生姜パワーはさらに、メタボのみならず吐き気、生理痛、筋肉痛も緩和することが研究結果に出ている。

では早速生姜を食べよう!と思うかもしれないが、タイム誌は、コロンビア大学で栄養学を教えるマリー・ピエール・サトンジュ准教授の「様々なスパイスが人間の健康にどういった影響を及ぼすかの研究はまだ初期段階」との説明を掲載。どの形でどのくらいの量を食べたら実際に効果が出るのかについては、まだはっきりと分からないとのことだ。

とは言うものの、同准教授は、生姜には抗酸化物質が豊富に含まれており抗炎症性もあるため、毎日の食事に加えてもまったく毒にはならないと言う。「もし何にも効果がなかったとしても、食べ物に塩をふりかけるよりは、生姜のような風味を加える方が絶対いい」と話している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米サウジ投資イベント、シェブロンやファイザーのCE

ビジネス

仏、企業から92億ユーロの新規投資を獲得

ワールド

メンフィスへの州兵派遣を一時差し止め、テネシー州裁

ワールド

インドネシア火力発電の廃止計画に暗雲 先進国からの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 7
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 10
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中