最新記事

心肺蘇生法

ビー・ジーズのあの名曲が命を救う? ドイツの学校では印税免除に

2017年5月19日(金)12時10分
モーゲンスタン陽子

British Heart Foundation - Vinnie Jones' hard and fast Hands-only CPR- Youtube

<ビー・ジーズの名曲「ステイン・アライヴ」が、イギリスやドイツでは人命救助に役立っている。そのリズムが心肺マッサージにピッタリで、ドイツの学校では印税免除となった>

1977年のアメリカ映画『サタデー・ナイト・フィーバー』は、若きジョン・トラボルタの特徴ある風貌と決めポーズで世界中の若者に「ディスコ・フィーバー」を巻き起こした、70年代の名作だ。

この映画の主題歌、ビー・ジーズの歌う「ステイン・アライヴ」は、以後もテレビドラマやコマーシャルで現在に至るまで頻繁に使われているが、イギリスやドイツではなんと人命救助に役立っているようだ。

イギリスではユーモラスなビデオで心肺蘇生法を紹介

トラボルタが黒のスーツに赤シャツでブルックリンを闊歩する映画冒頭シーン、その背後でかかる音楽が「ステイン・アライヴ」だ。「ア、ア、ア、ア、ステイナライヴ、ステイナライヴ」という甲高い歌声に聞き覚えがあるかもしれない。実は、この「ア、ア、ア、ア」のリズムが、心肺マッサージにピッタリということで注目されているのだ。


イギリス心臓病支援基金BHFもその効果を認めている。同基金は、イギリスの元サッカー選手で現在は俳優のヴィニー・ジョーンズを起用し、マフィア風の男がドスを効かせた声で、ディスコのリズムに合わせてCPR(心肺蘇生法)を紹介する面白おかしいビデオをホームページに掲載。アウェアネスを高めようとしている。


ドイツでは、学校の救急処置の授業では印税免除に

一方、公共の場での同曲の使用にはふつう著作使用料が発生するが、今月12日、ドイツで音楽著作権を管理する団体GEMAが、CDU(ドイツキリスト教民主同盟)のロイ・クゥーネ議員に、学校で30人以下の生徒に救急処置を教える場合、同曲の使用は公共のパフォーマンスにあたらないとして、印税を免除することを決定した。

フランクフルター・アルゲマイネによると、自身も水難救助員で、有志人道救命組織ディー・ヨハニターに参加したこともある同議員は、学校での心肺マッサージの練習にはリズミカルな音楽が効果的で、とくに「ステイン・アライヴ」が最適ということで、GEMAに申請中だったという。

印税免除は南ザクセン州の同議員の町、クラウスタール・ツェラーフェルトの学校に認められたが、同ルールはドイツの他地域の学校にも適応されるようだ。しかし、曲を流すのは「学校の建物の中で、授業の最中だけ」とGEMAは強調している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ファーウェイ、チップ製造・コンピューティングパワー

ビジネス

中国がグーグルへの独禁法調査打ち切り、FT報道

ビジネス

ノボ、アルツハイマー病薬試験は「宝くじ」のようなも

ワールド

林氏が政策公表、物価上昇緩やかにし1%程度の実質賃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中