最新記事

米中会談

トランプは習近平とチョコレートケーキを食べながらシリアを攻撃した

2017年4月13日(木)18時06分
ライアン・ボート

この晩餐会の最中にシリアへのミサイル攻撃を実行した Carlos Barria-REUTERS

<アメリカによるシリア攻撃を晩餐会の席でトランプから知らされるという不意打ちを喰らった習近平。2超大国の首脳を衝突から救ったのはチョコレートケーキだった>

ドナルド・トランプ米大統領はラグジュアリーな生活を好む。シリアへ59発の巡航ミサイル「トマホーク」を発射するという職務があったとしても、それを中断させることはない。

フォックス・ビジネス・ ニュースとの最新のインタビューでトランプは、シリアへの攻撃を命令したときはフロリダ州パームビーチの「マール・ア・ラーゴ」で中国・習近平国家主席とデザートの最中だったと語った。

「私たちはテーブルに着き、晩餐後のデザートを食べるところだった。これまで食べた中で最高に美味しいチョコレートケーキだった。習も堪能していた」。その間に習に「イラクに59発のミサイルを発射した」と伝えたという(イラクというのはシリアの言い間違いだ)。

【参考記事】米中首脳会談の結果を、中国はどう受け止めたか?
【参考記事】トランプはロシア疑惑をもみ消すためにシリアを攻撃した?

フリーズした習近平

シリア攻撃を習に知らせるタイミングについてトランプは、「パームビーチでの会談後すぐに帰国を控えていたため、食事の間に伝える必要があった」と言った。中国に到着してから習近平の耳に入るのは避けたかったという言い分は理解できる。

「彼は10秒ほど答えなかった」とトランプは、その瞬間を説明した。「それから習は再度通訳するよう求めたが、それは良いサインではないと思った。しかし習は私に向かって『幼い子供や赤ん坊に対して化学兵器を使ったやつなら仕方がない』と言った。彼はOKと言ったのだ」

チョコレートケーキは、2つの超大国の指導者が緊張高まる北朝鮮問題について話し合った米中首脳会談の終わりも飾った。

「中国との関係は非常に進展した」とトランプは言い、「習との関係が発展したのは素晴らしいと思う。今後とも面会を重ねることを楽しみにしている」と語った。

美味なるチョコレートケーキの外交力を侮ってはいけない。

【参考記事】習近平は笑っているべきではなかった――米国務長官、シリア攻撃は北への警告
【参考記事】米中会談、アメリカの目的は中国の北朝鮮「裏の支援」断ち切り

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB、追加利下げ「緊急性なし」 これまでの緩和で

ワールド

ガザ飢きんは解消も、支援停止なら来春に再び危機=国

ワールド

ロシア中銀が0.5%利下げ、政策金利16% プーチ

ワールド

台北駅近くで無差別刺傷事件、3人死亡 容疑者は転落
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 8
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 9
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 10
    中国、ネット上の「敗北主義」を排除へ ――全国キャン…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中