最新記事

アメリカ

「出産後3カ月無収入なぜ?」アン・ハサウェイが国連で訴え

2017年3月11日(土)09時30分
小暮聡子(ニューヨーク支局)

国連で3月8日にスピーチをしたアン・ハサウェイ Shannon Stapleton-REUTERS

<実はアメリカは産休・育休制度の後進国。先進国の中で唯一「有給の産休制度」を取り入れていない。アカデミー女優の切実な訴えはトランプ政権に届くか>

先進国アメリカが、世界の中で驚くほど後進的な分野がある。産休・育休制度だ。

「どういうわけか私を含めてすべてのアメリカの親たちは(子供が生まれてから)3カ月間、無収入で休んだ後に通常の生活に戻るものだと想定されている」

アカデミー助演女優賞の受賞者で国連親善大使でもあるアン・ハサウェイは「国際女性デー」の3月8日、ニューヨークの国連本部でスピーチを行い、アメリカの産休・育休制度の改善を訴えた。ハサウェイ自身、昨年第1子を産んだ「アメリカのワーキングマザー」だ。

【参考記事】「国際女性デー」全世界の女たちは勇敢に戦った

男女平等と女性の地位向上などを目指す会合で、各国からの出席者を前にハサウェイは自分の言葉でこう語った。「アメリカの母親の4人に1人は、休んでいる経済的余力がないため、出産後2週間で仕事に復帰している。この現実を聞いて、私は胸が痛くてたまらなくなった」

ハサウェイのスピーチが国連本部で行われたことは、アメリカにとっては皮肉だったかもしれない。人権や平等といった問題に特に敏感で、国連を含め常に国際社会をリードする立場にあるアメリカが、先進国の中で唯一「有給の産休制度」を取り入れていない。

93年に施行された連邦法「Family and Medical Leave Act(FMLA)」は従業員が産休を取得する権利を規定しているが、FMLAが事業主に義務付けているのは「従業員が出産後、もしくは養子を得てから12週間、休暇を取得する権利を認めること(解雇してはいけない)」であり、産休中の給与は全く保証されていない。

しかもこの権利が認められるには、「勤続年数1年以上」や「従業員が50人以上の会社」など複数の条件をクリアする必要がある。FMLAはそもそも出産や育児、介護など「家族を理由とする」休暇の取得について規定しているが、条件を満たせずにこの法の恩恵を受けられない労働者はアメリカ全体の40%に上るという。「産休取得」は、アメリカでは誰にでも保障されている権利ではないのだ。

ニュース速報

ワールド

経済連携協定は成長エンジン、TPP11早期合意目指

ビジネス

タクシーはセダンからワゴンへ、トヨタが新型車発売 

ビジネス

焦点:日経平均が最長の15連騰、与党勝利の安心感 

ワールド

フィリピン、マラウィでの作戦終了宣言 IS系勢力を

MAGAZINE

特集:中国予測はなぜ間違うのか

2017-10・24号(10/17発売)

何度も崩壊を予想されながら、終わらない共産党支配──。中国の未来を正しく読み解くために知っておくべきこと

グローバル人材を目指す

人気ランキング

  • 1

    生理の血は青くない──業界のタブーを破った英CMの過激度

  • 2

    国民審査を受ける裁判官はどんな人物か(判断材料まとめ・前編)

  • 3

    国民審査を受ける裁判官はどんな人物か(判断材料まとめ・後編)

  • 4

    国民審査を受ける裁判官はどんな人物か(判断材料ま…

  • 5

    早わかり衆院選 主な争点別の各党の選挙公約

  • 6

    性的欲望をかきたてるものは人によってこんなに違う

  • 7

    「クラスで一番の美人は金正恩の性奴隷になった」

  • 8

    「ヒュッゲ」ブームの火付け役が日本人に伝えたい幸…

  • 9

    衆院選、自公が300議席超えか 希望は伸び悩み・立憲…

  • 10

    年内にも発売されるセックスロボット、英研究者が禁…

  • 1

    iPhoneX(テン)購入を戸惑わせる4つの欠点

  • 2

    国民審査を受ける裁判官はどんな人物か(判断材料まとめ・前編)

  • 3

    生理の血は青くない──業界のタブーを破った英CMの過激度

  • 4

    ポルノ王がトランプの首に11億円の懸賞金!

  • 5

    トランプ、金正恩の斬首部隊を韓国へ 北朝鮮に加え…

  • 6

    性的欲望をかきたてるものは人によってこんなに違う

  • 7

    iPhone8はなぜ売れないのか

  • 8

    「クラスで一番の美人は金正恩の性奴隷になった」

  • 9

    NYの電車内で iPhoneの「AirDrop」を使った迷惑行為…

  • 10

    「お母さんがねたので死にます」と自殺した子の母と…

  • 1

    「クラスで一番の美人は金正恩の性奴隷になった」

  • 2

    「北朝鮮はテロリストだ」 北で拘束された息子は異様な姿で帰国し死んだ

  • 3

    北朝鮮はなぜ日本を狙い始めたのか

  • 4

    「金正恩の戦略は失敗した」増大する北朝鮮国民の危…

  • 5

    トランプの挑発が、戦いたくない金正恩を先制攻撃に…

  • 6

    米軍は北朝鮮を攻撃できない

  • 7

    中国が北朝鮮を攻撃する可能性が再び----米中の「北…

  • 8

    米朝戦争が起きたら犠牲者は何人になるのか

  • 9

    北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは...

  • 10

    iPhoneX(テン)購入を戸惑わせる4つの欠点

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

全く新しい政治塾開講。あなたも、政治しちゃおう。
日本再発見 シーズン2
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版 特別編集

最新版 アルツハイマー入門

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2017年10月
  • 2017年9月
  • 2017年8月
  • 2017年7月
  • 2017年6月
  • 2017年5月