最新記事

朝鮮半島

韓国、米国防長官とサード配備を確認 中国との訣別に踏み切る?

2017年2月3日(金)22時23分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

こうした中国の締め付け強化に韓国側も最近では反撃をしようという動きを見せている。

韓国外交部の関係者は1月25日に「中国のサード報復対策を関連部署の協力のもとで検討しており、被害を最小化する方法のひとつとして国際法に訴えることも考えられる」と明らかにした。この関係者は「WTO提訴も方法のひとつに含まれる」と明言した。従来は中国側に配慮して憶測レベルで報じられていた中国による"韓国いじめ"を、明確な政治レベルの問題として取り上げようという韓国政府の態度の変化がうかがえる。

また、韓国法務部が最近、中国人講師のビザ延長を拒否したことも話題になっている。韓国MBCによると、中国政府は世界各地に中国文化の普及を目的として"孔子学院"という教育機関を設置しており、韓国にも22か所設置されているという。そのうち、仁川にある大学に併設された"孔子学院"で5年前から働いている中国人講師が、最近ビザの再延長を拒否されたのだ。これについて韓国法務部は、「当該講師は外国語指導を目的とするE-2ビザを取得して入国したが、給与は大学ではなく中国政府から支給されていた」と説明する。E-2ビザは国内の企業から給与を受け取ることが条件として発給されるビザだ。突然の発給停止について法務部は「今まで現状把握ができていなかったからで、今回初めての事例が中国人だった。あくまで原則にのっとった決定で、政治的な意図はない」と語っているという。

サード配備に中国だけでなくロシアまで反発

こうしたサード配備を巡る中国との関係悪化に加え、今回のマティス国防長官によるサード年内配備確認発言はロシアも刺激してしまったようだ。アレクサンドル・チモニン在韓ロシア大使は3日韓国メディアとの懇談会で「ロシアは韓国へのサード配備をアメリカのグローバルミサイル防衛計画の一環、ロシアの安全保障に対する脅威と認識している。サードは朝鮮半島情勢や域内の安全保障に対して脅威を与えることになるだろう。もし配備されることになれば、ロシアは自国の安全を守るため、一定の措置をとることになるだろう」と警告した。

朝鮮半島の安全保障は、サード配備をきっかけに大きな転換点を迎えようとしているようだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

サウジアラムコ、1―3月期は4.6%減益 売り上げ

ビジネス

銀行・信金の貸出、4月は2.4%増 米関税の影響「

ビジネス

アウディ、数カ月以内の米関税明確化を期待=CEO

ビジネス

日本製鉄株が急落、利益見通しが市場予想下振れ 関税
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王子との微笑ましい瞬間が拡散
  • 3
    「隠れ糖分」による「うつ」に要注意...男性が女性よりも気を付けなくてはならない理由とは?
  • 4
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 5
    ロシア艦船用レーダーシステム「ザスロン」に、ウク…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 8
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 9
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 10
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 5
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 6
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 7
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 10
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中