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米外交

トランプが駐米大使に勝手指名した「英国版トランプ」ファラージ

2016年11月24日(木)17時00分
ロビー・グレイマー

 ボリス・ジョンソン外相も、「われわれの非常に優秀な駐米大使がワシントンで、現政権ならびに次期政権との関係づくりにおいて素晴らしい仕事をしている。大使のポストに空きはない」とコメントした。

 元駐米英国大使のサー・クリストファー・メイヤーはトランプの提案を「頭がいかれている」と評した。万一ファラージが大使となるようなことがあれば、「自国の政府に100%つくべき時にトランプに遠慮して、どうしようもないような妥協をするだろう」とメイヤーは述べる。

 母国内で非難の声があがっているにもかかわらず、ファラージは自身が駐米英国大使になるというアイデアを喜んでいるようだ。最近までスティーブ・バノンが会長を務めていたオルタナ右翼のオンラインメディア「ブライトバート」に掲載された論説において、ファラージはトランプの意見を支持し、メイ首相率いるイギリス政府をこきおろしている。

「思いがけないことに、トランプは私が駐米英国大使になったら素晴らしい仕事をするだろうとツイートしてくれた」とファラージは述べ、自画自賛を続けた。「私は以前からトランプチームの何人かと親交を持っている。次期大統領の支持を受けたとてもよい立場にあるわけだ」

 ファラージは、メイがすぐにトランプの考えを否定したことについては快く思っていないようだ。「イギリスでは、国民投票で国民たちが自らの意思を表明したが、政治のトップにいる人間は残念ながら何も変わっていないようだ」と同氏は述べた。「自分の政治生命にしか関心のない政治家たちが、国の利益への妨げとなっている」

 もしトランプとファラージがスクラムを組むことになったら、「大口同盟」とでもいうところか。

From Foreign Policy Magazine

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