「セルフ・ダンピング」で苦境に陥るベネズエラの食料輸入事情
さらにひどいことに、政府は国内生産より輸入が有利になるよう規則を変更してきた。
国内の食品産業もやる気が失せるというものだ。政府は何年も前に食料生産に関する統計を公表するのをやめた。だが、産業会議や連盟の声明を見れば(政府はほとんどこれを問題視していないが)、かなりはっきりと実態がわかる。
企業の没収と輸入品へのえこひいきに加え、価格統制によって産業は衰退した。上昇し続けるコストに直面している農家が、政府により制裁を受けた価格で販売しながら生計を立てることなどできない。農家には設備や部品が不足しており、政府が持ち込む人為的に安価に設定された食料と競争するなど不可能なのだ。その上、食料生産はパッケージ産業などの他の産業にも依存しており、これらの産業もまた酷い状況にある。
これら産業を、すばやく、またお金をかけずに復活させることなどできない。ベネズエラ企業は外国のサプライヤーに何十億ドルもの負債がある。これは、輸入を認可してもサプライヤーの支払いのために公的資金から金を出さないという政府の悪習のせいだ。輸入業者が購入する際は通常後払いだが、この先サプライヤーは古い借金が返済されるまで商品を送ってはくれないだろう。当然だ。
それに今日では上層部が保証してもあまり価値がない。マドゥロとウルグアイ大統領の間で直接取り決めが行われた輸入品の支払いすら遅れているのだ。ベネズエラの国内産業とベネズエラ政府の返済能力が疑わしいことは世界中に知れ渡っている。
食料のサプライチェーンは末端までが長く、多くの産業に依存している。特に明白なものだけを挙げても、運送、化学、プラスチック、電気エネルギー、アルミ、農業と小売などがある。これら産業の多くまた、同じように、あらゆる輸入品に依存している。