最新記事

中国

香港「反中」書店関係者、謎の連続失踪──国際問題化する中国の言論弾圧

2016年1月6日(水)15時33分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

抗議活動  李波氏ら消息不明となった書店関係者の捜査を求める香港の民主化活動家たち Tyrone Siu-REUTERS

 昨年10月から反共本の香港書店関係者の失踪が相次いでいるが、今年に入ってから中国治安当局の介入が明らかになってきた。失踪した香港人が外国籍を持っていることから、中国の言論弾圧が国際問題に発展しつつある。

失踪者からのおびえた電話──中国当局の監視の下か?

 昨年10月から関係者が相次いで行方不明になっている香港の「銅鑼(どら)湾書店」の5人目の犠牲者である李波氏が、突如連絡を絶ったのは昨年12月30日のことである。

「銅鑼湾書店」は香港のコーズウェイ・ベイにある出版と販売を兼ねる書店で、中国政府に批判的な本を出版販売することで人気がある。李波氏は、その書店の株主の一人だ。

 12月30日午後4時、李氏はその妻と年末の買い物などに関する話をし、「いま忙しいからまた後で」と最後の言葉を残した。香港メディアの一つである「明報」が知らせたところによると、李氏は書店の店員には「出荷のために倉庫に行く」と伝え、午後5時半には倉庫にいたという。

 その夜、7時になっても李氏は家に戻らず、妻が夫の携帯に連絡すると携帯はオフになっていた。

 夜10時半になると李氏から妻の携帯に電話があった。見れば大陸の深センのエリヤ番号である。普段は広東語で話す夫が、突然中国大陸の普通語(標準語)で話し始めたのに驚いた。

 李氏は電話でつぎのように言った。
「そんなに早くは帰れないと思う。今は調査に協力している。あの人たちはとても友好的で、いま私のご飯を買いに行ってくれている。でも食が進まない」

 会話の中の「あの人たち」とは「中国治安当局の人たち」のことか?

 李氏は「あの人たちは、もし私が協力的な態度を示せば、処理は軽くて済むと言っている。お前は私がこの(書店の)仕事を、早くやめてほしいとずっと言ってきただろう?」とも言った。

 夜11時になると、また李氏から電話があった。今回も標準語だ。
「大げさにならないようにしてくれ。できるだけ話が広がらないように。家のことは頼んだ」という。

 今回もまた深センのエリヤ番号が妻の携帯に表示された。

 1月2日にも、無事を知らせる電話があった。今回は我慢できずに「ともかく、どこにいるのかを教えて!」とせがんだが、その瞬間に電話は切れた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米エピックゲームズ、「フォートナイト」不振で100

ワールド

アングル:中東危機による海上輸送混乱、日韓の中古車

ビジネス

米国のイースター消費、過去最高の249億ドルに=業

ビジネス

英小売売上高指数、3月はコロナ禍以来の大幅悪化 見
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆保険」を達成した中国の医療保険の実態とは
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下位になった国はどこ?
  • 4
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 5
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 6
    スペイン王室、王妃と王女の装いに見る「母から娘」…
  • 7
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 8
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「…
  • 9
    「日本人のほうが民度が低い」を招いてしまった渋谷…
  • 10
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中