最新記事

中国

中共老幹部が認めた「毛沢東の真相」――日本軍との共謀

遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

2015年11月24日(火)17時00分

歴史問題 中国共産党とは何か、毛沢東と日本の関係は? 今、不都合な党史が明らかになる REUTERS

 筆者が『毛沢東 日本軍と共謀した男』の内容を全て北京にいる中共老幹部に告げたところ、絶賛してくれた。「誰かが書かなければならなかった。中国人も書き始めたが、日本側の決定的証拠がなかった」と彼は言った。

党史の闇を明らかにしようとする動き

 いま中国では水面下で、中国共産党(中共)の歴史、すなわち「党史」に関する闇を明らかにしようという動きが出ていると、老幹部は言う。隠された党史の証拠は奥深い档案(ダンアン)庫(ファイルがしまってある倉庫)に眠っており、扉は閉ざされたままだそうだ。

 生き証人がまだ存命のうちに、なんとか抗日戦争中の中共の動き、特に毛沢東の言動に関する証拠を引き出そうと、国内外の研究者が綱渡りのような奮闘を続けている。

 注目されている本の中に謝幼田氏が書いた『中共壮大之謎――被掩蓋的中国抗日戦争真相』(中共が強大化した謎――覆い隠された中国抗日戦争の真相)(2002年、明鏡出版社)がある。謝幼田氏は1980年に四川省にある社会科学院で仕事をし、1987年からアメリカのスタンフォード大学フーバー研究所に行き、長いことスタンフォード大学の客員教授をしていた中国人歴史家だ。

 筆者が『毛沢東 日本軍と共謀した男』の執筆を始める寸前に、その日本語訳『抗日戦争中、中国共産党は何をしていたか......覆い隠された歴史の真実』(2006年、坂井臣之助訳、草思社)までがあることを知った。そこには筆者が独自に描こうとしていた中共スパイ・潘漢年や袁殊らのことが、中国側の視点から描かれている。

 謝幼田氏は、「毛沢東は中共スパイを日本外務省の岩井公館や日本軍部の梅機関に派遣して、国民党軍の軍事情報を高く売り渡し、中華民族を裏切っていた」という事実を、戦闘を中心に書いている。岩井公館や梅機関に関しては11月16日付の本コラム「毛沢東は日本軍と共謀していた――中共スパイ相関図」をご覧いただきたい。

 謝幼田氏の本に関しては中国語のネットには数多く転載されており、たとえば「中国最大の売国奴は誰だ?」(余傑氏)などがある。

 2015年11月21日付けの「自由中国」にも、謝幼田氏の本の論考が掲載されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中