最新記事

ヨーロッパ

ギリシャだけじゃない! 欧州で極左が大躍進

2015年1月26日(月)12時24分
ポール・エイムズ

 ポデモスは経済政策を作成している段階だが、既にいくつかの提案をしている。例えば選択的債務不履行や「戦略的」企業の国有化、退職年齢の50歳への引き下げ、富裕層への課税を財源とするベーシックインカム(全国民に最低限所得額を現金で支給する制度)の導入だ。

 共産党の活動家だったイグレシアスは急進左派のベネズエラ前大統領、故ウゴ・チャベスの政策に共感している。

 エル・パイスによれば、イグレシアスらポデモスの党員が理事を務めていた基金は、12年までの10年間にチャベス政権から計460万ドルを受け取っていた(ポデモス側はイグレシアスらが複数の中南米国で顧問を務めたことを認めつつ、外国政府の党への資金提供は否定)。

主流派が犯した「過ち」

 ポデモスが次の総選挙で最多票を獲得したとしても、世論調査を見る限り単独過半数は望めない。つまり政権を取るには、忌み嫌う主流派政党と連立を組む必要がある。あるいは主流派政党が一致団結して、ポデモスが与党になる事態を阻止しようとするかもしれない。

 経済危機はギリシャやイタリアで、天敵のはずの主流派左派と右派が手を組む政権を誕生させてきた。ドイツでも、アンゲラ・メルケル首相率いる中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)が、中道左派の社会民主党(SPD)と連立している。

 とはいえ、こうした「大連立」は危険だという声も多い。主流派政党はどこも同じ、代わりの選択肢は極左か極右しかないという見方を助長し、結果的に急進勢力に支持が集まることになるからだ。

「大連立はスペインの民主主義にとって害になるだろう」と、社会労働党のペドロ・サンチェス党首は言う。42歳と若く、イグレシアス同様にジーンズを好む(髪は短いが)サンチェスが、党首に就任したのは14年7月。党の人気を回復し、ポデモスの脅威を抑え込めると期待されてのことだった。

結局のところ、勝負の決め手は「見た目」なのかもしれない。

From GlobalPost.com特約

[2014年12月 9日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

オランダ半導体や航空・海運業界、中国情報活動の標的

ワールド

イスラエルがイラン攻撃と関係筋、イスファハン上空に

ワールド

ガザで子どもの遺体抱く女性、世界報道写真大賞 ロイ

ワールド

北朝鮮パネルの代替措置、来月までに開始したい=米国
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中