AIはもうここまで生活と仕事を変えた...いずれ奪われるこれほど多くの職種

LIFE-CHANGING AI

2023年6月15日(木)13時30分
デービッド・H・フリードマン(科学ジャーナリスト)

■人型ロボットAI

ロボットはブルーカラーやその他の熟練労働者とチームを組んで働く。アメリカの自動車、トラック、重機の運転手は約200万人。その多くが自動運転車や自律型建設車両など、既にAIとの協業を始めている。

農機具大手ジョンディアは近いうちに自動運転トラクターを発売すると宣言。宅配便は遠くない将来、AI搭載ドローンや配達ロボットが玄関先まで運んでくれるようになりそうだ。アマゾンは数年前から、この2つの技術を試験的に導入している。

工場用ロボットは以前からおなじみの存在だが、テスラのオプティマスやサンクチュアリAIのフェニックスのような人型AIロボットは、料理人や庭師として人間と肩を並べて働くようになるだろう。

既に会員制スーパーのサムズクラブでは、ロボットが床の掃除や商品棚の整理を行っている。あなたが次に買う家は、コンクリートから建物のパーツを作れる巨大な3Dプリンターの力を借りて、AI搭載ロボットが建ててくれるかもしれない。

フロリダ大学のチアンによれば、農場で働くAI搭載のツールや機械は作物栽培の各段階でスピードアップに貢献している。こうした機器は熟練度の低い労働者でも操作できるので、長年の課題だった熟練労働者不足の緩和にも役立っているという。

心臓や膝を手術する自律型ロボットの外科医が登場する日も、そう遠くないだろう。医療機器メーカーのモノグラム・オーソペディクス社は今年5月、完全遠隔操作のロボットによる膝の手術を実演した。

■脚本家とプログラマー

230620p40_AIH_04.jpg

AIに仕事を奪われると懸念するハリウッドの脚本家のストライキ DAVID MCNEW/GETTY IMAGES

5月2日に始まったハリウッドの脚本家団体のストライキにおいて争点の1つになったのも「脚本家の仕事をどこまでAIにやらせてもいいか」ということだった。

グーグルのBardやオープンAIのGPT-4のようなAIプログラムは、あたかも人間が書いたような脚本を大量生産することができる。スタイルも設定もテーマもほぼ何でもござれ、費用もほとんどかからず、ほぼ一瞬で書き上げる。

「われわれにとって差し迫った問題だ」と語るのは、『カーニバル・ロウ』などの人気ドラマを手がけてきた脚本家兼プロデューサー、マーク・グッゲンハイムだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アップル、1─3月業績は予想上回る iPhoneに

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、円は日銀の見通し引き下げ受

ビジネス

アマゾン第1四半期、クラウド事業の売上高伸びが予想

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任し国連大使に指
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中