最新記事

軍事技術

米軍の新兵器は「サイボーグ兵士」、DARPAが開発中

U.S. Military Plans Cyborg Soldiers

ドローン、ロボットの次はサイボーグ兵士──米軍がリアルに取り組む「脳とコンピューター」接続の大きな可能性

2016年1月22日(金)16時00分
アンソニー・カスバートソン

技術的必然? 今では当たり前の暗視ゴーグルも、かつては考えられないテクノロジーだった Andrew Burton-REUTERS

 脳とコンピューターを繋ぐチップを頭に埋め込み、前線の兵士を「サイボーグ」に変える技術を、米軍が開発中だ。このインターフェイスは、米国防総省の研究機関である国防高等研究計画局(DARPA)が開発に取り組んでいる。チップを通じて脳細胞とコンピューターを接続できれば「人間の脳と最新電子機器の間に伝達経路を開くことができる」と、DARPAは説明する。

 DARPAの研究者が脳と機械の接続を試みるのはこれが初めてではない。しかし、これまでの研究成果ではその機能は限られていた。新たに設置された「脳科学技術システムデザイン」(NESD)の研究プログラムでは、一度に接続できる脳細胞の数を数万個単位から数百万個単位へと飛躍的に増加させることを目指している。

「脳とコンピューターを繋ぐ現代で最高レベルのインターフェイスシステムを使っても、2つのスーパーコンピューター同士が70年代製の古い通信モデムを使って会話するようなものでしかない」と、NESDのプログラムマネジャーのフィリップ・アルベルダは言う。「人間の脳とコンピューターの間に伝達経路を確立できれば、とんでもないことが可能になるだろう」

 DARPAは最終的に、1立方センチメートルよりも小さい(または直径2センチ余りの5セント硬貨を2枚重ねた程度の)、脳に埋め込める大きさのチップを製造することを目標としている。このチップが、脳細胞の発信する電気信号や化学信号をコンピューターに伝達する。

 これで、チップを移植した人の脳に外からデジタル音声やデジタル映像を送るアプリケーションの開発が可能になる。しかしそのためには、脳科学、生物工学、省電力技術、医療機器等の各分野で、画期的なイノベーションが必要だとDARPAは語っている。

 DARPAが最初に製造するデバイスは軍事用になるだろう。しかしそうした技術はしばしば、民間転用され社会に革命的な変化を起こしてきた。GPS(全地球測位システム)や音声通訳システム、インターネットはそのほんの一例だ。

 人間をサイボーグ化することには論議もあるが、その善悪の分かれ目は使われ方次第だろう。NESDプログラムは、オバマ大統領が推進する脳機能障害を治療する研究の一環でもある。

ニュース速報

ワールド

サムスン経営トップ、韓国特別検が逮捕状請求

ビジネス

円安で企業収益上振れも、米新政権に期待と不安=日銀

ワールド

焦点:対中強硬姿勢のトランプ氏、次期政権内では意見

ワールド

豪環境相、日本の南極海での調査捕鯨再開を批判

MAGAZINE

特集:トランプと世界経済

2017-1・17号(1/11発売)

貿易戦争を煽り、企業活動に介入する「ビジネスマン大統領」。トランプ時代の世界経済とアメリカの行方は?

人気ランキング

  • 1

    ダライ・ラマ制裁に苦しむ、モンゴルが切るインドカード

  • 2

    「南シナ海の人工島封鎖なら、米国は戦争覚悟すべき」中国紙が警告

  • 3

    韓国ユン外交部長官「釜山の少女像は望ましくない」

  • 4

    共和党が議会を握っても、オバマケアは廃止できない?

  • 5

    「反米」のレッテル貼るトランプ口撃、企業はツイー…

  • 6

    オバマ、バイデン副大統領に最後のサプライズで勲章…

  • 7

    トランプ政権国務長官「TPPは終焉」 今後は2国間…

  • 8

    トランプとロシアの「疑惑文書」を書いた英元情報部…

  • 9

    オバマ米大統領の退任演説は「異例」だった

  • 10

    トランプ政権発足で、あのスノーデンがアメリカに引…

  • 1

    オバマ米大統領の退任演説は「異例」だった

  • 2

    トランプ当選初会見でメディアを批判 ツイッターなどSNS大炎上

  • 3

    韓国ユン外交部長官「釜山の少女像は望ましくない」

  • 4

    「南シナ海の人工島封鎖なら、米国は戦争覚悟すべき…

  • 5

    トランプの娘婿クシュナーが大統領上級顧問になる悪夢

  • 6

    オバマ、バイデン副大統領に最後のサプライズで勲章…

  • 7

    ロシアのサイバー攻撃をようやく認めたトランプ

  • 8

    ダライ・ラマ制裁に苦しむ、モンゴルが切るインドカ…

  • 9

    オバマ大統領が最後の演説、米国の価値の低下阻止訴…

  • 10

    iPhoneはなぜ割れるのか?<iPhone 10周年>

  • 1

    オバマ米大統領の退任演説は「異例」だった

  • 2

    キャリー・フィッシャー死去、でも「2017年にまた会える」

  • 3

    オバマが報復表明、米大統領選でトランプを有利にした露サイバー攻撃

  • 4

    「知能が遺伝する」という事実に、私たちはどう向き…

  • 5

    トルコのロシア大使が射殺される。犯人は「アレッポ…

  • 6

    トランプ当選初会見でメディアを批判 ツイッターな…

  • 7

    北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは...

  • 8

    日本の制裁措置に韓国反発 企画財政省「スワップ協…

  • 9

    安倍首相の真珠湾訪問を中国が非難――「南京が先だろ…

  • 10

    韓国ユン外交部長官「釜山の少女像は望ましくない」

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

日本の観光がこれで変わる?
リクルート
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版 臨時増刊

世界がわかる国際情勢入門

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2017年1月
  • 2016年12月
  • 2016年11月
  • 2016年10月
  • 2016年9月
  • 2016年8月