最新記事
BOOKS

新しい学び、成功のコツは講師選び...ヤクザ専門ライターはいかにして運命のピアノの師と出会ったか?

2025年5月15日(木)16時30分
鈴木智彦
楽譜

楽譜も読めないところからのスタート(画像はイメージです):niekverlaan_pixabay

<年齢を重ねてからの挑戦は勇気がいる。最初の一歩で最大のハードルが教室選びだ。しかし、大人には熟慮するための知恵と経験がある>

暴力団取材の第一人者がピアノのレッスン記を書いた。ベストセラー『サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う」』(小学館)などの硬派なルポで知られる鈴木智彦氏による『ヤクザときどきピアノ』(CEメディアハウス)だ。

50歳を過ぎて一からピアノを習い始めた鈴木氏である。大人の稽古事に大切なのは併走してくれる師の存在だ。職業柄、磨き抜かれた独自の観察眼で氏は運命の人、レイコ先生と出会う。

◇ ◇ ◇


5年越しで書き下ろしたルポ『サカナとヤクザ』をついに校了した。大仕事を終えた高揚感は、ライターズ・ハイをもたらした。自由の身で観たのが映画『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』だった。劇中、ABBAの名曲『ダンシング・クイーン』に、なぜか涙が止まらなくなった。そして思った----ピアノでこの曲を弾きたい。

「『ダンシング・クイーン』が弾きたいんです」

翌日になっても高揚感は消えなかった。恋に落ちたような感覚があった。ただし相手はピアノである。燻(くすぶ)っていたピアノへの情熱は一気に燃え上がり、俺の行動力は躁病の極北だった。止めどない万能感が溢れ、往年の竹下景子でも落とせそうな気がした。もし俺が政治好きなら、翌年春に控えていた統一地方選挙に立候補していたことだろう。

SDGs
「SDGs認証」の可能性とは?...日本サステナブルビジネス機構(JSBO)が有識者フォーラムを6/10に開催
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロサンゼルスで移民の抗議活動、トランプ政権が州兵派

ワールド

コロンビア大統領選の候補者、銃撃される 容疑者逮捕

ビジネス

CPIや通商・財政政策に注目、最高値視野=今週の米

ワールド

マスク氏との関係終わった、民主に献金なら「深刻な結
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:韓国新大統領
特集:韓国新大統領
2025年6月10日号(6/ 3発売)

出直し大統領選を制する李在明。「政策なきポピュリスト」の多難な前途

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラドールに涙
  • 2
    ひとりで浴槽に...雷を怖れたハスキーが選んだ「安全な場所」に涙
  • 3
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット騒然の「食パン座り」
  • 4
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 5
    救いがたいほど「時代錯誤」なロマンス映画...フロー…
  • 6
    プールサイドで食事中の女性の背後...忍び寄る「恐ろ…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「銀」の産出量が多い国はどこ?
  • 9
    ディズニーの大幅な人員削減に広がる「歓喜の声」...…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラドールに涙
  • 4
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
  • 5
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 6
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 7
    日本の女子を追い込む、自分は「太り過ぎ」という歪…
  • 8
    ウクライナが「真珠湾攻撃」決行!ロシア国内に運び…
  • 9
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 10
    ひとりで浴槽に...雷を怖れたハスキーが選んだ「安全…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 7
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 8
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中